Mineoki Yoneya

 一方、周回遅れになって1周減算されることを前提としていたのかルノーPU勢は燃費にかなり苦しんでおり、首位セバスチャン・ベッテルが追い付いてくるのかどうかを気にしていた。周回遅れになるならば燃料セーブが1周分不要になり、その分だけプッシュすることができるからだ。

ALO「VETはどこだ? 彼の後ろについてフォローするのが良いんじゃないか?」

MCL「我々もそれは考えていたが、まだやらないでくれ。まずはHULを抜くのが先だ」

 最後はヒュルケンベルグに追いすがったアロンソだが、追い抜きは成功しなかった。

MCL「0.8秒差だ。チャンスはあと1回だ。オーバードライブはするな、成功させろ」

 51周目、マグヌッセンのペースが急に落ちた。タイヤが終わったわけではなく、バイブレーションが出始めたからだ。ロックアップさせたわけではなく、サスペンションの不具合だとマグヌッセンは推察した。

MAG「あぁ、左フロントから激しいバイブレーションが出ている。フラットスポットは作っていないから、フロントサスペンションの問題だと思う」

 これでガスリーとマグヌッセンの差はさらに開いていき、ずっと集団の先頭でスリップストリームを使って空気抵抗を減らし燃費を稼ぐこともできなかったにもかかわらず、ガスリーは燃費に苦しむこともなく4位のままでチェッカーフラッグを受けた。

STR「P4、P4だ!」

GAS「信じられない、信じられないよ! ファンタスティックだ! みんな本当にありがとう。僕らは戦える!」

 その無線にトロロッソのクルーは歓喜に沸き上がった。上位3台のリタイアもあったとは言え、中団グループの中で正面から戦い実力で勝ち獲ったその最上位には、何よりも大きな価値があった。

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