合計13名のドライバーによる23回のリードチェンジと、うち7名がフタ桁のリードラップを記録するドラマと波乱に満ちた2024年NASCARカップシリーズ第9戦『オートトレーダー・エコパーク・オートモーティブ400』は、終盤に於ける再三のリスタートにも動じず、好調デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)やロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)らの挑戦を退けたチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、待望の復活勝利をマーク。実に2022年シーズン以来42戦目にして待望の今季初優勝を飾った。
テキサス・モータースピードウェイが誇る1.5マイル“ハイバンク”での週末は、幕開けからやはりシーズン序盤を席巻した実力者たちが牽引する展開に。予選ではカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)がタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)を0.003秒差で撃破し、驚異的な3戦連続のポールウイナーに輝いた。
これで名門ヘンドリックのチームにとっては通算250回目、今季はインディ500への挑戦を控えるラーソンにとってカップ通算25回目の最前列発進となった決勝は、序盤こそ静かな展開で同日最多77周をリードしたポールシッターがステージ1を制していく。
しかし続くステージ2ではトヨタ陣営がジリジリと優勝戦線に絡み始め、ハムリンを含めクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)、タイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)、さらにマーティン・トゥルーエクスJr.(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)らが代わる代わる隊列を率いることとなる。
だが異なる戦略とピットロードで発生した数多くのトラブルがレース後半の展開に影響を及ぼし、ベルのクラッシュを皮切りに今季のチャンピオンシップをリードするトゥルーエクスJr.も、ホイールの緩みを修正するべく最後のピットストップサイクルで2度の作業を余儀なくされることに。また、残り60周でレディックはレース最大となる6秒強のリードを築いたにも関わらず、左リヤタイヤの作業が遅れて追い上げを強いられる展開となる。
そして、このレースを通じて序盤からもっとも支配的なドライバーだったラーソンも、作業で右リヤタイヤが脱落して2周のペナルティを科され、残る周回の大半で挽回を強いられる展開となり、リードラップに戻った残り8周の時点で姿勢を乱しウォールにヒット。無念の21位に沈んでしまう。