南米大陸を舞台とするTCRサウスアメリカ・シリーズと、併催TCRブラジルの開幕戦としてインテルラゴスにて開催されたシーズン唯一の“変則耐久フォーマット”の1戦は、今季より供給が開始された新型『クプラ・レオンVZ TCR』の世界第1号をドライブしたラファエル・レイス/ルーカス・フォレスティ組(W2プロGP)がデビューウインを飾っている。
サンパウロを代表する世界的トラック、アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェに集った両シリーズの15台は、今季唯一の長距離戦としてセクションを2分割した40分レースに分け、そのインターバルに20分の休憩が入るという独自形式のフォーマットに臨んだ。
昨季、初のフル参戦でシリーズチャンピオンに輝いたイグナシオ・モンテネグロは、古巣のファン・マニュエル・カゼッラ(スクアドラ・マルティーノ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)のペアを務めるため、今季本格進出を果たす欧州から一時帰国。同じく昨季のTCRブラジル王者であるガリッド・オスマンは、同国を代表するSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”に参戦するフェリペ・ラピーニャとチームを組み、大会連覇を狙う。
さらにシリーズで強豪の一角を形成するPMOモータースポーツは、今季よりSCBの名門フルタイム・スポーツとジョイント。うちPMOレーシングとしてエントリーするプジョー308 TCRの1台に、SCB5冠の“帝王”カカ・ブエノを招聘した。
そんなゲスト多数の長距離戦に向けた土曜予選は、2名のドライバーによる“タイム合算方式”で争われると、やはり昨季のチャンピオンが躍動。モンテネグロとカゼッラのFL5型シビックRが今季最初のポールポジションを獲得した。
背後の2番手には新型クプラ・レオンVZ TCRのレイス/フォレスティ組が、合算タイムでわずか0.044秒差のフロントロウに並び、オスマン/ラピーニャ組とW2プロGP陣営が並ぶ結果に。ファン-アンヘル・ロッソとファクンド・マルケス(パラディーニ・レーシング/トヨタ・カローラGRS TCR)のコンビが、トヨタ勢の最上位となる6番手グリッドを確保した。
明けた日曜正午を過ぎてスタートが切られた“前半戦の40分”では、スティント中盤でポールシッターを捉えた2番手発進のフォレスティが首位浮上に成功。そのまま20分のハーフタイムに突入する。
後半スティントで新型モデルのステアリングを引き継いだレイスは、僚友のオスマンを引き連れてリードを堅持。これで新型モデルのデビュー戦勝利に向け、盤石の防護体制が整う。
しかし2番手となった28号車の先代クプラ・レオン・コンペティションTCRはここからペースに苦しみ、ペドロ・カルドソ(PMOレーシング/プジョー308 TCR)や、モンテネグロのFL5にオーバーテイクを許してしまう。