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F1ニュース

投稿日: 2015.08.27 00:00
更新日: 2018.02.17 09:57

【決勝無線】涙の表彰台、たった2周のストラット7


 ベルギーGPでロマン・グロージャンが表彰台に上がることを予測できた者はいるだろうか。ロータス・チームでさえ、ここまでの好結果は期待していなかった。その裏には戦闘力うんぬんではなく、いつマシンを差し押さえられて走れなくなってもおかしくないという財政事情があった。無線を通じたドライバーとチームのやりとりとともに、涙の舞台裏を覗いてみよう。

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「ロマン、ストラット7を使え」

 ハイペースで追い上げ、次々とオーバーテイクを成功させるロマン・グロージャンのもとには、レースエンジニアのジュリアン・シモン・ショータンから何度も指示が飛んでいた。

 ストラットとは、MGU-HとMGU-Kの発電と放電をどのように割り振るか、あらかじめ組み合わせ設定を何種類か用意したもので、レース状況によってドライバーがエンジニアから指示を受けて切り替えながら走行している。

 最大限のERS(エネルギー回生)アシストを使おうとすると、スパ・フランコルシャンのようなサーキットでは1周の発電量よりも放電量のほうが上回り、バッテリーの残量はどんどん減っていってしまう。グロージャンに許された「ストラット7」の使用時間は、2周程度しかなかった。

 その短いチャンスで確実に追い抜きを成功させたグロージャンの走りを、チーフエンジニアの小松礼雄は褒め称えた。

「それまでバッテリーの電気エネルギーを貯めて、貯めて、貯めながら走って、どのくらいディスチャージ(放出)できるかという予測に基づいて、2周で抜く予定でストラット7を使ってディスチャージしてプッシュしたわけです。ラップタイムを見ていれば、我々も何周で抜けるなっていうのは予測がつきますから、前に追いつくまでにバッテリーをこのレベルにしておきましょう、ということで貯めていってるんですね。そこでストラット7にして、もし2周で抜けなかったら(バッテリーが空になってしまって)ヤバいけど、最後のベッテル以外は1〜2周でスパッと抜いてくれたから、今日のロマンは素晴らしかったですよ」


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