レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1ニュース

投稿日: 2014.07.24 00:00
更新日: 2018.02.17 01:46

【GPメソッド】ハンガロリンクでのスキルとリズム


 1986年の初開催以来、29回目のグランプリを迎えるハンガリー。共産主義体制が崩壊する1989年までは東欧のなかでも開かれた国として知られ、体制転換後は外資が流入したことで目覚ましい経済発展を遂げた――トラバントやラーダと西ヨーロッパの最新車種がブダペストの町を混走する光景は印象的だったが、今ではそんな姿もほとんど見かけなくなった。

 ドナウ河沿いの街並みは美しく、夏は観光客で賑わう。西ヨーロッパに比べると物価も安く、手ごろな旅行先なのだ。昔は“学校で習う外国語がロシア語だった"とのことで、ホテル以外では英語が通じにくかったが、今はそんな苦労もない。ただし……いまだにクレジットカードを使えないレストランが多い。グーラッシュスープは美味しいけれど、冷房のないレストランでは汗だくになる。

 それ以上に厄介なのは、通常の10倍ほどもの料金を取る“白タク"が横行していること――ホテル前やタクシー乗り場でタクシー会社の名前を掲げて堂々と並んで客待ちをしていると思ったら、違法行為ではないそうで、被害に遭わないためには目の前にタクシーが停まっていても(たとえ同じ会社のクルマに乗るとしても)電話で呼び出さなくてはならない。そうすれば会社に記録が残るため、運転手は勝手な“ぼったくり料金"を要求できないらしい。

 旧共産主義国にありがちな腐敗の一面は、ハンガリー経済の成長を鈍らせた要素とも無関係ではない。体制転換当初は華々しかった経済成長も、外資が周辺の勤勉な国へと移動することによって止まってしまった。

 それでも、観光客にとってのブダペストは魅力的で、鈴鹿F1より長い歴史を誇るハンガリーGPは成功例のひとつ。夏休み時期のヨーロッパで、観光とF1観戦が無理なく両立することが最大の理由だ。ブダペストの町には宿泊施設が豊富で、供給が需要を上回るためホテル代も暴騰しない。ファンも関係者も同じように町に宿泊し、20㎞ほど郊外に離れたサーキットに通う。ドライバーが宿泊するホテルの前には、朝夕、声援を送るファンの姿が数多く見られて楽しい雰囲気。サーキット周辺には、見事なほど様々な国のナンバーをつけたクルマが集まる。フィンランドとハンガリーが同じフン族の国というのは異説があるとしても“感覚的に近い"とのことで、とりわけフィンランドからやって来るファンが多いことも特徴――クルマ移動は無理なので、ヘルシンキからはF1観戦のための特別便が飛ぶようになった。

 1986年、世界で初めて“F1のために"建設されたサーキットは、短いストレート、メリハリなく続くコーナー、狭いコース幅……と、オーバーテイクを不可能にするレイアウトがドライバーたちに不評だった。年間を通してF1以外ではほとんど使用されないため、走行が始まってからもラインを外れると極端に滑りやすいこともオーバーテイクを難しくする一因だ。周辺の森を伐採してアクアパークを建設したため、砂埃という悪条件がさらに深刻になった。


関連のニュース

本日のレースクイーン

HOPPY team TSUCHIYAアンバサダー
岡島彩花(おかじまあやか)

F1 Photo Ranking

フォトランキング