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F1ニュース

投稿日: 2014.09.14 00:00
更新日: 2018.02.17 02:17

カメラマン対談:ドライバーに、どこまで寄れるか


 F1カメラマン──それはサーキットを走るマシン、そしてドライバーを最も近くで見つめる存在。『F1速報』をメインにF1はもちろん、近年は佐藤琢磨選手とインディカーシリーズを追いかけている松本浩明カメラマン、そして今シーズン日本人としては、ただひとりF1全戦を現場で撮影している熱田護カメラマンが語り合う、スペシャル対談の後編をお届けします。

○カメラマン対談の前編は、こちらから○

 撮りやすいドライバー、撮りにくいドライバー、カメラマンとしてのやりがいから鈴鹿でF1を撮影したい人へのアドバイスまで、世界を撮り続けたカメラマンだからこその話を、思うぞんぶん語っていただきましょう。

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「撮りやすかったベッテルに、ちょっとした変化が」

──後編は、まずドライバーについて。いい表情が撮りやすいドライバー、撮りにくいドライバーというのはありますか。

松本:セバスチャン(ベッテル)はコクピットに入って、顔の前にモニターを置かない時間が長いので撮りやすい。よく、ピットに入るとすぐモニターを顔の前に置くドライバーがいるじゃない? わりとベッテルは横のモニターを見ているから、目が見える状況が長くて助かります。フェラーリとかマクラーレンとかメルセデスはガレージにクルマが入ると、パッとモニターを置くから撮影できる時間が短いんですよ。だから、じれったい。

熱田:でも、ニコ(ロズベルグ)は大丈夫じゃない?

松本:ニコは大丈夫ですね。ルイス(ハミルトン)が(モニターを置くのが)早いね。モニターを置けばカメラマンが撮れないし、そうなるとカメラマンが来ないというのがわかっているから、あえてやってるところもある。メカニックとかチームにしてみれば前にカメラマンがいないほうが仕事しやすいじゃない。クルマが出ていくときも入っていくときも。そういう“追っ払い”的な要素もある。それに最近のモニターって、最初は小さかったのに、どんどんどんどん大きくなっているでしょ。さらに二面、三面みたいになって上からも下からも右からも隠す、みたいな。

──なぜ、チームはカメラマンを妨害するようなことばかりするんでしょう。たくさん撮影してもらえば露出も多くなって、スポンサーへのアピールになると思うのですが……。

松本:撮ってもらいたいのはチームの広報カメラマンで、彼らはガレージの中にいるから、僕たちに優しくする必要はない。

熱田:追っ払われる、っていうことはないと思いますけど。

松本:ただチームは「あなたに撮っていただかなくても結構ですよ」という状況だから、どうぞどうぞというふうにはしてないですね。

熱田:ガレージでの話なら、やっぱりベッテルはすごく撮りやすい。(ダニエル)リカルドもトロロッソ時代からモニターを置かない時間が長いから撮りやすい。メルセデスは、ニコはすごく撮りやすくて、ルイスはすごく撮りづらい。でも、ルイスはガレージでうろうろしていることが結構あるので撮れないことはない。グリッド上では、やっぱりニコがトイレに行っている時間も短いし、クルマの近くにいてくれるし、カメラマンを避けることもないからすごく撮りやすい。そういえば、ベッテルは最初は良かったんだけど、最近ちょっと変わってきて、レッドブル関係のカメラマンにはそうでもないけど、それ以外のカメラマンが行くと背を向けたりするようになってきた感じがする。リカルドは全然平気だけど。ハミルトンはグリッドではずっとクルマの近くにいて、そこはパーテーションがあるから近づいて撮ることができない。ヘルメットを被るときもクルマの横で被る。ウォールのほうとか芝生のほうでヘルメットを被る人は撮れるんだけどね。さらに最近15分ルール(スタート前15分にチームスタッフ以外はグリッドから退去)ができたから撮りづらくなった。