更新日: 2018.02.17 10:03
ロータス小松礼雄コラム:エンストーンと波乱万丈の表彰台
ロータスF1チームで昨年、ロマン・グロージャンを担当していたレースエンジニアの小松礼雄氏。今シーズンはチーフエンジニアに昇格してグロージャン、そしてパストール・マルドナドの2台のマシンでF1を戦います。
ついにベルギーGPで表彰台を獲得したロータス・チームと小松チーフエンジニア。未曾有の資金不足で厳しい中で得た表彰台に、チームはまさに勝ったような雰囲気。でも、実際の週末は考えられないほど波乱万丈だったようで……。現場でエンジニアリングをまとめる小松氏は、どのようにベルギーの週末を振り返るのでしょうか。
F1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム、第13回目の一部をお届けします。
——————————————
今までで一番嬉しい表彰台
新パーツがなくても戦えるエンストーンの力
ご存じの通り、ベルギーGPでは2013年アメリカGP以来の表彰台となる3位になることができました。現在のチーム事情では表彰台はおろかポイントを獲るのさえ大変なんです。F1で仕事をしてもう10年以上になりますが、今年ほど資金面で苦労した年は覚えがありません。
もともとクルマは開幕戦、いや、開幕前のラウンチの時からほとんど仕様は変わってなく、新しい部品もほとんど投入されていません。しかも夏休み明けにはチームの資金の問題で、ファクトリー、そしてスパにまでも取立屋が来ていました。訴訟もいろいろと起こされているようで、チームスタッフはみんなその事実を知った上で作業を進めていました。そんな中で表彰台を実力で獲れたということが、エンストーンのみんなにとってこの上なく嬉しいことでした。
先ずは2台のクルマをちゃんとした仕様に仕上げてレースウィークエンドを迎えるのが一苦労なんです。アップデートパーツが入るどころか、新品のパーツが来ないので、これまで使ってきたパーツをなんとか使い回すのに四苦八苦しています。
ベルギーではギヤボックスの交換でロマン(グロージャン)がグリッド降格ペナルティを受けましたが、これも元々はスペアパーツ不足が問題です。直接の壊れた原因はパワーユニット側の問題で突然、クルマの電気が落ちたことです。このため、ふたつのギヤが違った場所に同時に入ってしまって、ギヤボック内のいろいろな部品にダメージが出ました。