レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

F1ニュース

投稿日: 2015.11.30 00:00
更新日: 2018.02.17 11:53

F速分析:王者空回りの最終戦。勝てない焦り


 2015年のF1シーズンも、ついに幕を下ろしました。長かったようであり、あっと言う間のようでもあり……。

 さてそのシーズン最終戦を制したのは、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグでした。ロズベルグはこれで3戦連続のポール・トゥ・ウイン。予選だけ見れば6戦連続のポールポジション獲得……今季のチャンピオンはチームメイトのルイス・ハミルトンでしたが、そのパワーバランスが完全に逆転してしまったようなシーズン最終盤となりました。

 ここ数戦、完敗続きのハミルトンは、忸怩たる想いだったことでしょう。その現れか、これまでに何度かロズベルグと違う戦略を採用することを希望しましたが、チームメイト間の軋轢が生じるのを避けたいチーム側はこれを許さず……レースを重ねるごとに、ハミルトンが不機嫌になっていく様が見て取れました。今回もハミルトンは、2回目のピットインを遅らせてロズベルグに対抗しようとしましたが、結局はこれが仇となり、またも敗戦を喫することとなりました。

 ソフトタイヤを履いて第2スティントを走行していたロズベルグは、自らのペースは落ちていないものの、ペースを上げつつあったハミルトンに差を詰められていました。15周目には最大7秒以上の差があったにも関わらず、30周目の両者の差は約1.3秒。

 メルセデスAMGは、先行するドライバーにピットインの優先権を与えています。先頭を走るロズベルグは、後続との差が埋まったと見るや31周目にピットへ入り、新品のソフトタイヤへ交換。翌周、3番手を走っていたフェラーリのキミ・ライコネンも、ロズベルグに合わせるようにピットインを行いました。しかしハミルトンは一向にピットに入る気配を見せません。

 新品タイヤを履いたロズベルグとライコネンは、ハミルトンよりも1周につき1秒程度速いラップで走行し、徐々にその差を詰めていきます。しかしそれでもハミルトンはピットに入らず、41周目には「タイヤの調子は良いから、このまま最後まで行こうよ」という無線交信も行います。ただ、チームはこの提案を受け入れずにピットインを指示。そしてこの周にハミルトンは2回目のタイヤ交換を行います。結局、ロズベルグがピットインを終えた直後に約20秒あった差は、41周目の時点で6.4秒に縮まり、ハミルトンがタイヤ交換を終えてコースに戻った際には、ロズベルグの後方12.5秒まで下がってしまっていました。

 タイヤを交換した後は、ハミルトンの方がロズベルグを上回る速さで走るものの、ロズベルグもペースをしっかりとコントロールして7秒程度の差をキープ。結局ハミルトンはロズベルグの差を6.8秒以下に縮めることなく、そのままチェッカーまで走り切ることになりました。