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F1ニュース

投稿日: 2015.05.25 00:00
更新日: 2018.02.17 08:16

F速分析:65周目“10秒”を失ったハミルトン


 ステアリングを、そしてヘッドレストを、怒りの感情を落ち着けるようにひとつずつゆっくりと外し、マシンを降りたルイス・ハミルトン。ヘルメットを脱いだ後、その憮然とした表情が、実に印象的だった今年のモナコGP。最後の8周は、手に汗握る、緊張感の高いレースとなりました。

 スタートを確実に決め、トップを独走していたハミルトンは、マックス・フェルスタッペン(トロロッソ)とロマン・グロージャン(ロータス)のアクシデントによってセーフティカーが出た際、ピットインしてタイヤを交換することを選択しました。しかし、これによりニコ・ロズベルグとセバスチャン・ベッテルの先行を許してしまい、優勝を逃してしまうという結果になりました。

 なぜハミルトンはピットインを選択したのでしょうか? ピットインをしなければ、ハミルトンが優勝していたはずです。しかし、当時の状況を考えれば、チームがピットインを選択した理由を、理解することはできます。

 ここモナコは、ペースの差が大きくとも、そう簡単にオーバーテイクできるコースではありません。語りぐさとなっている、アイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)vsナイジェル・マンセル(ウイリアムズ・ルノー)が激しい優勝争いを繰り広げた、1992年のモナコGPが、その良い例。当時のウイリアムズは、マクラーレンよりも数秒速いラップを刻むことができたものの、マンセルは遂にセナを攻略できませんでした。マシンを右に左に振り、セナにプレッシャーを与え続けたシーンを、思い出す方も多いのではないでしょうか。