今季よりオールグラベルへと一新され、4月12~14日に開催されたERCヨーロッパ・ラリー選手権開幕戦『ラリー・ハンガリー』は、ラリー2規定注目の新型車種『トヨタGRヤリス・ラリー2』を含むトップランナーが次々に脱落する波乱の展開に。
そんななか元ジュニアWRCチャンピオンのシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRS ラリー2)がシリーズ初優勝を達成し、マシュー・フランチェスキーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)、ミクロス・チョモス(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)のシュコダ勢が表彰台を独占する結果となった。
ディフェンディングチャンピオンのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)を筆頭に、今季も実力者が集ったERC開幕戦だが、ラリーは金曜セレモニアルスタートを前にタイトル候補の一角であるマッズ・オストベルグ(シトロエンC3ラリー2)の「肺感染症で入院」との報で幕を開けた。
これにより昨季最終戦の“ターマック”ハンガリーから連勝を狙っていた元WRCウイナーは、休養を余儀なくされることに。そんななか初日SS3こそテンペスティーニがベストタイムを奪ったものの、レグ1を通じて主導権を握ったのは、トヨタ/GR製の新型をドライブする元フィンランド王者だった。
オーバーナイト・パルクフェルメの時点で後続に6.3秒差をつけ、暫定首位に立ったミッコ・ヘイッキラ(トヨタGRヤリス・ラリー2)は、明けた日曜SS10で失意の状況に見舞われる。
「いつもこんな感じだ、運はついてこない……」と肩を落としたヘイッキラは、メカトラブルにより10.1秒のリードが霧散し2年連続で開幕戦での好機を逸すことに。
「最初にリムが壊れ、その後にサスペンションをすべて失った……。もちろん、いつもある程度はどこかにヒットしているけど、特別なことは何もなかったし、なぜホイールを失ったのか本当に理解できないでいるよ」
代わってラリーリーダーの座に着いたのもトヨタGRヤリス・ラリー2で、今季も引き続きチームMRFタイヤからエントリーするマルティン・セスクが、最終パワーステージ目前のSS12まで6.8秒のリードを維持していく。