TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかると山本雄紀は、4月18日(木)から21日(日)にかけてクロアチアの首都ザグレブを中心に開催されたWRC世界ラリー選手権第4戦『クロアチア・ラリー』に出走。トヨタGRヤリス・ラリー2で初めて戦うターマックラリー(舗装路)を走破し、山本はWRC2クラス11位、小暮は12位で完走を果たした。
2024年は、2月上旬にフィンランドで開催された『アークティック・ラップランド・ラリー』や2024WRC第2戦スウェーデンに参戦してきたふたりにとって、今大会はラリー2で戦う初のターマックラリーとなった。
今回ふたりが走破した『クロアチア・ラリー』は、非常に難易度の高い大会として知られる。ステージは全体的に道幅が狭く、ハイスピードなコーナーや曲がりくねったテクニカルなコーナーもあり、高度なドライビング技術が問われる。
さらに、コーナーの路肩を走ることでタイムを稼ぐ“インカット走法”によって掻き出された泥や砂利がグリップを奪い、出走順が後方のふたりは非常に滑りやすくなった路面を走ることとなった。
このインカットによって変化するコースの状況を把握するため、ふたりは今回初めて『グラベルクルー』と呼ばれる、あらかじめ路面の状態をチェックしてペースノートの情報をアップデートする役割のメンバーとも仕事を行った。
彼らにとってはあらゆる要素が新しい大会となるため、今回はできるだけ多くの経験を積むことが最大のテーマとなり、刻一刻と変化するコンディションへの対応をこなしながらも難易度の高いラリーを走破した。
競技初日、金曜日のステージは順調に進んだが、午後最後のステージでふたりはスピン。山本はそのまま走り続けることができたが、小暮は不運にもコーナー内側のバンクにヒットし、ラジエーターが破損したためデイリタイアとなった。
小暮は翌日のデイ2で再出走を果たした。しかしこの日は、午後最後のステージにて山本がコースオフし、デイリタイアを喫した。
山本は最終日のデイ3で再出走し、ふたりはその後もマシンのマイナートラブルやスピンなど、アクシデントを乗り越えながらもスピードを高め、自信を高めながらアタックを重ねた。最終的に、山本はWRC2クラス11位、小暮は12位で完走を果たし、多くの貴重な経験を積んだ。
当プログラムでインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、「かなり忍耐が必要なラリーだったが、彼らのアプローチは非常に良かった」とふたりの完走を振り返る。
「プレイベントテストではとても好調だったが天候が良すぎたこともあり、本番では初めて泥の多い滑りやすいコンディションに直面した」
「ほかにもタイヤの組み合わせなど、彼らにとってはすべてが初めて経験することで、ラリー中に新たなドライビングを学ぶのは難しい作業だったと思う」
「いくつかのコーナーではミスもあったが、基本的にすべてのステージを走り切ったことを本当に嬉しく思う。そして、コンディションが少し良くなった時のパフォーマンスはとても勇気づけられるものであった」
ふたりの次戦は、5月9日から12日にかけてポルトガル北部のマトジニョスを中心に開催されるWRC第5戦『ラリー・ポルトガル』だ。このラリーは、路面のコンディションがステージの1回目の走行と2回目の再走時で大きく変わるのが特徴となり、こちらも今大会と同じく新たな状況への対応が求められるラリーとなる。