レースからラリー、ジムカーナやダートラ、そしてドリフトまで。4輪モータースポーツイベントが行なわれる会場では、キャロッセのブランド、『CUSCO』の文字を見かけないことはほぼない。各選手権に積極的に参戦する理由と、その実態に迫った。
■全日本ラリー選手権JN2クラス MORIZO CHALLENGE CUP
国内外のラリー競技で活躍するクスコレーシングは、2024年の全日本ラリー選手権にGRヤリスを投入。若手ドライバーの発掘・育成を目的にJN2クラスのサブカテゴリーとして新設された『モリゾウ・チャレンジ・カップ(MCC)』に参戦している。
「若手の育成という意味で、すごくいいカテゴリーだと思います。新しい風を入れたいと思って参戦することにしました」と語るのは、長瀬努社長。レーシングカート、フォーミュラ、ドリフトなど、これまでサーキットで活躍してきた20歳の星涼樹をドライバーに抜擢し、コ・ドライバーには2018年にラリー活動を開始して以来、全日本ラリー選手権やWRCのラリージャパンで活躍してきた梅本まどかを起用する。
「星選手はFDJ2にクスコレーシングの車両で参戦したこともありますし、ラリーに対するモチベーションも高かったので起用することにしました。梅本選手は以前、カスタマーチームで活動をしていましたし、シーズンを通して参戦したいという強い気持ちも見えたのでコ・ドライバーとして起用しています。星選手はラリー経験がないし、参戦7年目の梅本選手は“教える立場”にあるので、ふたりでスキルアップしてもらいたい」と長瀬社長は語る。
なお、参戦イベントは第6戦のラリーカムイ、第7戦のラリー北海道を除くターマックイベントとなるが、梅本はクスコレーシングのコ・ドライバーとして、北海道を舞台にしたグラベル連戦にもハイラックスでXCRクラスに参戦する予定だ。
「今まではベテランのドライバーとコンビを組んできましたが、星選手はラリー経験が浅いので、ペースノートの表現をアドバイスしました。難しいラリーでしたが、きちんと完走できたことはよかったです」と梅本が語るように、開幕戦のラリー三河湾はJN2クラス8位/MCC4位でフィニッシュ。さらに第2戦のツール・ド・九州ではレグ1のSS1でクラッシュを喫し、足まわりを破損するシーンもあったが、最後まで走り切り、クラス13位/MCC8位で完走を果たした。
「SS1のクラッシュはもったいなかったけれど、ミスをした部分を計算したら、上位勢は越えられない壁ではないので、次戦はレッキから集中して戦いたいと思います」と梅本も語っているだけに、今後もMCCに挑むクスコレーシングの動向に注目したい。(IH)