富士スピードウェイを舞台にしてのレースは今年3度目となった全日本スーパーフォーミュラ選手権の第6戦。随所で接近戦が繰り広げられたが、なかでも互いに一歩も譲らないバトルを披露してくれたのが、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)と野尻智紀(TEAM MUGEN)の攻防戦だった。
30周目から32周目にかけて行われたバトルは、接触寸前のサイド・バイ・サイドも見られる手に汗握る展開となり、山本に軍配が上がる結果となった。ふたりともスーパーフォーミュラで複数回チャンピオンを獲得し、お互いの手の内も知るホンダのエース対決。ふたりが、あのバトルで抱いていた心境を聞いた。
「チャンピオン経験者らしい、フェアなバトルだった」
予選で6番手グリッドを獲得した山本は抜群のスタートダッシュを決めて3番手に浮上。今回は早めにピットインを済ませる車両が多いなか、彼はオーバーカットを狙う作戦を選択し24周目にタイヤ交換を行った。
12周目にピットを済ませていた野尻の後ろでコースに合流した山本は、フレッシュタイヤの優位性を活かして2年連続王者に接近。29周目の最終パナソニックコーナーでオーバーテイクシステム(OT)を発動し、野尻攻略を試みた。