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投稿日: 2024.11.07 17:34
更新日: 2024.11.07 17:35

apr LC500h GT 2024スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート


スーパーGT | apr LC500h GT 2024スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート

2024 AUTOBACS SUPER GT Round 8
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県)/4.801km
11月2日(予選)
天候:雨 コースコンディション:ウエット 観客数:1万2300人
11月3日(決勝)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:3万人人

LC500hで初ポールポジション獲得! 決勝はアクシデントもあり、悔しい11位に

 通例では最終戦として組み込まれるもてぎラウンドだが、今年は第5戦鈴鹿大会が台風の影響で12月7日〜8日に延期されたことで、7戦目としての開催となった第8戦もてぎ。

 8戦目であればサクセスウエイトがすべて降ろされるが、7戦目は『獲得ポイント×1kg』のサクセスウエイトを搭載することになる。6戦目に比べればウエイトは半減するが、いつもは『0kg』のもてぎで、31号車apr LC500h GTは『25kg』を積んで戦うことになった。

 ストップ&ゴーサーキットのもてぎは、リヤのトラクション性能が高いMR(ミッドシップエンジン・リヤドライブ)車両が得意としており、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両のなかでもFIA-GT3に最高速と加速力で劣勢にあるGTA-GT300車両はとくに苦手とするサーキットだ。

 それでも、唯一のハイブリッドシステムを搭載する31号車にとっては、ブレーキングでの回生、モーターアシストによる加速をもっとも活用できるサーキットでもある。そこに活路を見いだし、今季初の表彰台登壇を目指す一戦となった。

公式練習/26位 11月2日(土)9:00〜10:35

 11月2日の土曜日は、台風21号から変わった低気圧が日本列島を縦断し、関東地方も激しい雨に見舞われた。午前9時から始まった公式練習も、路面はヘビーウエットというコンディションだった。

 同じように雨の第6戦SUGOでは、午後の公式予選がキャンセルになった場合、公式練習のタイムがスターティンググリッドになる可能性があることを事前に通達されていた。しかし悪天候のなか、GT500車両15台、GT300車両27台の計42台が一斉に走行する公式練習でのアタックはリスクをともなうことになり、今大会は公式練習のタイムがスターティンググリッドを決めるものにはならないことがチームに事前通達されていた。

 300kmレースでのウエットタイヤの持ち込みセット数は5セット。31号車はさまざまなコンディションに合わせられるように、ミディアム系2セット、ソフト系2セット、そしてさらにソフト側に振ったエクストラソフト1セットを持ち込んでいた。公式練習の雨量は多く、気温と路面温度は想定していたレンジより低い。そこで31号車は午後の公式予選にタイヤを温存する作戦を採った。

 公式練習開始から1時間が経過して、ミディアム系のウエットタイヤを装着した中村仁がチェック走行のためにコースイン。アウトラップからホームストレートを1回通ってそのままピットに戻る。10時31分からのGT300専有走行では、ルーキー中村の練習も兼ねて再びコースに出るが、雨量が増え、他車のスピン等もあったことから10時35分にはセッション6度目の赤旗が提示され、そのまま公式練習は終了となった。

 31号車は計測2ラップしかしておらず、タイムは2分39秒230で26番手。順位、そしてマイレージからは不安に映るリザルトであっただろうが、ここでの“タイヤ温存”の戦略が予選で活かされることになる。

公式予選11月2日(土)
Q1/13位 14:00〜14:43
Q2 U14/1位 15:31〜15:41
総合結果ポールポジション

 朝から降り続いた雨は午後になっても止むことはなく、一時は公式予選を決勝日の朝に延期することも検討されていた。しかし、予選開始時刻の14時時点では雨脚がそれほど強くなく、スケジュールどおりにGT300のQ1が行われることになった。

 今季のGT300の予選は、前大会までの成績に基づいてQ1を2グループに分け、各組の上位8台がQ2の上位グループ、9位以下が下位グループに組分け順位を決定する方式を採用する。しかし、第5戦SUGOからQ1の組分けを廃止、全27台が20分間のQ1を一斉に走行する形式に変更となった。

 第5戦SUGOは雨により公式予選がキャンセルとなり、第6戦オートポリスではやはり雨によって予選日の走行がすべて中止になって決勝日朝に30分間の計時予選方式に変更されたため、新しく採用された予選方式が初めて採用されることとなった。

 31号車はQ1を中村に託す。選択したのはソフト系のウエットタイヤだ。コンディション的にはエクストラソフトが適していたが、それはQ2に温存。ルーキーにとって難しい条件をつきつけることになったが、中村は13番手で上位14台が進めるQ2のU14(Upper 14th)にコマを進めた。なお、中村のアタックラップは7番手タイムだったが、ちょうど赤旗が出てしまい前のラップで記録した2分7秒455で13番手という順位だった。

 Q2のU14に進出した31号車は、満を持してエクストラソフトのウエットタイヤを投入。この週末で初めてステアリングを握った小高一斗が、1分57秒479というトップタイムをたたき出した。LC500hのハイブリッドシステムはウエットコンディションの場合、回生ブレーキによってリヤがロックしやすくなり、加速時にはタイヤが空転しやすくなるなど、本来の良さを発揮できず、むしろ機構的にはネガに働く傾向にある。その状況下で中村と小高は不利を撥ね除け、LC500hで初となるポールポジションを獲得した。

小高一斗選手

「昨年からLC500hを走らせていて、クルマとしてはバランスの良さや速さをずっと見せることができていたと思うんですけど、予選も決勝もいつも流れが悪く結果が残せていませんでした。チームとしてすごく悔しい戦いがずっと続いていたなかで、やっとポールポジションを獲ることができてホッとしています。僕のアタックとしてはタイヤのピークは過ぎていましたが、最後はしっかりとまとめられたと思います」

中村仁選手

「Q1で落ちるわけにはいかないので、そこは多少プレッシャーがありました。赤旗でベストアタックをすることはできませんでしたが、ギリギリでQ1を上位で通ることができて、ポールポジションは小高選手のおかげです。ブリヂストンさんが素晴らしいタイヤを作ってくれたから小高選手がすごく速いタイムを出せたと思うし、僕のQ1もタイヤに救われたところが大きいです」

根本悠生選手

「クルマが速いことは昨年から分かっていたし、今回のポールポジションというのは遅すぎたくらいに感じますね。監督もドライバーもチームのみんなも、これで一安心できたんじゃないかなと思います。でも、やっぱり決勝で勝たないと意味がないので、明日は優勝して、この2年間のみんなの頑張りと苦労が報われればいいなと思っています」

金曽裕人監督

「ブリヂストンさんが今回初めて作ってきてくれたエクストラソフトのウエットタイヤはQ2まで温存したかったし、公式練習は無理して走りませんでした。ブリヂストンのウエットタイヤの性能が高いことは分かっていましたからね。Q1の中村選手は、赤旗がなければ7番手のタイムを出せていました。そしてQ2の小高選手は、さすがのスーパーラップで神の領域でしたね。これまでウエットで強さを見せていたミシュランタイヤに勝ってのポールポジションは、素直に嬉しいです」

金曽裕人監督/中村仁/小高一斗(apr LC500h GT)
2024スーパーGT第8戦もてぎ 金曽裕人監督/中村仁/小高一斗(apr LC500h GT)

決勝レース(59周)/11位 11月3日(日)13:07〜15:00

 前日の荒天から一転、晴天に恵まれた決勝日。レース開始時には気温21度、路面温度29度まで上がり、11月とは思えないような陽気になった。第1スティント担当は中村。開幕戦岡山と第6戦SUGOでスタートドライバーは経験済みだが、ポールポジションからのスタートは初めてとなる。

 中村は過去の争いで2番手スタートの7号車Studie BMW M4の加速力の良さを警戒していたが、しっかりと好スタートを決めてトップを死守。20周でピットに入るまで、じわりと差を広げ、4秒強のギャップを築いた。

 ピットでは小高に交代して給油、タイヤは無交換でコースに送り出す。27周でGT300クラスの全車がルーティンのピットを終えると、31号車は再びトップに立つ。しかし、チームが持ち込んだドライタイヤは、11月にしては暑さを感じるほどの気温と路面温度、そして今季から増した追加重量とサクセスウエイトにマッチしているとは言い難かった。

 小高のラップタイムは安定していたが、ピークの速さはなく、34周目に2番手、37周目に3番手へと順位を落としてしまう。さらに47周目に4番手、49周目に5番手まで後退した直後、接近戦を演じていたGT500車両2台の争いに巻き込まれ、S字コーナーの進入で追突されてコースサイドに押し出されてしまった。

 ここでポジションを8番手まで落とし、車両は左リヤを破損。左のリヤサスペンションは曲がってしまい、チェッカーまで走らせるのが精一杯の状況だった。結果は入賞に一歩届かずの11位。ポールポジションからのスタートで、悔しい結果となってしまった。

apr LC500h GT
2024スーパーGT第8戦もてぎ apr LC500h GT(小高一斗/中村仁)

小高一斗選手

「無交換作戦に対しては戦略的にありでしたが、こんなに路面温度もあがり、しかも昨年よりも90㎏も重いと、さすがに選んだタイヤに対しては厳しい環境でした。表彰台は諦めて5位狙いで残り10周ほどを手堅くいこうとした矢先にドカーンってGT500が飛んできました。その後はリヤの足が折れ曲がったかでバイブレーションもあり、真っすぐも走らずチェッカーもギリギリのレベルでした。その前に、完全に心が折れました。勝てそうなレースを幾度も落としているので、最終戦こそは!」

中村仁選手

「SUGOとオートポリスは勝てるチャンスを自分で失ってしまったこともあって、スタートは緊張しました。BMWの加速力も脅威でしたが、小高選手と根本選手にタイヤの温め方をアドバイスしてもらって、5コーナー、130Rまでポジションを守れた時点で、心に余裕はできました。結果としては悔しいですが、これまでにないプレッシャーを抱えながらしっかりと仕事をこなせたことは、自分の経験値として今後につなげられると思います」

根本悠生選手

「さあ次にTRYですね!」

金曽裕人監督

「仮にタイヤを交換して、ぶつけられていなくても、5位か6位しか展開的にはなかったと思います。ウエットコンディションの予選までは良かったけど、やはりもてぎはFR車両にとって厳しく、表彰台を狙うにはタイヤ無交換作戦でいくしかなかった。とくに今年は重量が増したことで、ブレーキでも加速でも厳しい状況でしたね。決勝はまだまだ甘くなかった。今回はポールポジションを獲れたことを前向きに捉えたいと思います。そして最終戦こそポールポジションから優勝を実現させたい」

apr LC500h GT
2024スーパーGT第8戦もてぎ apr LC500h GT(小高一斗/中村仁)


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