2010年、ヨーロッパで展開されていたFIA GT2欧州選手権は、開催されないこととなった。GT1、GT3クラスの盛況ぶりとは裏腹に、高価な車両価格が原因と見られている。
3月1日、パリで盛大に開催されたFIA GTのオフィシャルプレゼンテーション。GT1とGT3の車両とチームは華々しく紹介されていた裏側で、今季のGT2欧州選手権の開催が中止されることとなった。GT2の車両展示やチーム紹介がなかったために、メディア関係者らには今季のGT2クラスの動向が取りざたされていた。
FIA GT1の世界選手権化に成功したSRO代表ステファン・ラテルだが、目下参戦が中止となったGT2欧州選手権へ既にエントリーしたチームたちをどうするのかが大きな課題となっており、可能な限り早い時期に復帰させたいと語っている。
今回のようにGT1とGT3クラスの成功の裏で、GT2への参戦が困難になった一番の要因として考えられるものには、09年に襲った世界的な大不況で、巨額な車両開発費用やチーム運営費を賄うためのスポンサー獲得を非常に困難にしてしまったことが考えられる。
平均約50万ユーロ(約6,100万円)するGT2車両。自動車メーカーとしても、それらの高価なマシンを高額な投資をして開発をしても、この経済状況かの昨今で購入できるチームが現れることは困難な状態。しかしGT3では、GT2の半額から3分の2の価格で車両が購入でき、エントリー費用もGT2の半額近くで済む。さらにシーズン中のドライバー交代やスポット参戦が可能などと非常にフレキシブルなレギュレーションで、この不況下において少しでもレース活動を続けようと努めるプライベーターにとっては明るい兆しとなり、さらなる盛り上がりを見せている。
GT3車両は価格こそGT2のそれに比べ安価であるものの、パフォーマンス性はそれほど大きな違いがないとあって、例えばポルシェのGT3車両である911 GT3R(旧911 CupS)は、予約開始とともにほぼ売り切れてしまうほどの人気車種となった。
09年に参戦したFIA GT2シリーズの車種はわずかたった3車種であったが、一方でGT3クラスは12種にも及んだ。今季はGT3 シリーズには、GT2からの移行組も含め、さらに参加チームと車種が増える予定。
GT2欧州選手権は中止となったが、FIA GTのスパ24時間レースでは『FIA GT2欧州選手権カップ』として組み込まれることが予定されている。目下SROとFIAの間で調整を行っている模様だ。