April 18 2010
IZOD IndyCar Series Toyota Grand Prix of Long Beach

開催地:カリフォルニア州ロングビーチ
会場:ストリート・オブ・ロングビーチ(全長1.968マイル)
天候:曇りのち晴れ
気温:20~22℃

ライアン・ハンターレイが今季初優勝
武藤英紀は13位、佐藤琢磨は18位

 ロングビーチ・グランプリはアメリカ中に名の知れわたったビッグイベントである。海沿いの公道を封鎖して行われるストリートレースは今年で36回目の開催と歴史も長く、ドライバーたちが一度は勝ちたいと考えるレースのひとつとなっている。

 今年のロングビーチはレースウイークエンドを通してすばらしい天候に恵まれた。穏やかな海からの風が吹き寄せる最高のコンディションの下、大観衆を前に25台のインディカーがV8エンジンを轟かせてローリングスタートを切った。

 3戦連続のポールポジションからスタートしたウィル・パワー(Team Penske)は快調にトップを走っていたが、18周目に突如失速し、今季3勝目をあきらめることとなった。タイトなヘアピンコーナーとなっている最終ターンからの立ち上がりでギアが1速から数秒間動かなくなったのだ。彼の横を予選2番手のライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)と予選3番手のジャスティン・ウィルソン(Dreyer & Reinbold Racing)がすり抜けていった。

 ハンターレイはトップに立つと、1つのミスも犯さずにゴールまで走りきり、今季初優勝を飾った。この勝利は2008年のワトキンスグレン以来となるキャリア2勝目である。Andretti Green RacingからAndretti Autosportへと体制変更を行ったチームは4戦目にして初めて勝利を手にした。

 ウィルソンは周回遅れとの接触でフロントウイングを破損したが、ピットで新しいノーズをつけるとハイペースでの走りを続けて2位でゴールした。パワーは3位で今季3度目の表彰台に上った。

 4位でゴールしたのはスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)で、昨年のロングビーチウイナーであるダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は上位で争うことのないまま12位でゴールした。

 武藤英紀(Newman/Haas/Lanigan Racing)は11番グリッドからのスタートだったが、2つポジションを落として13位でゴールした。スタートから装着したソフトコンパウンドのタイヤでハンドリングが悪く、2つポジションダウン。ハードタイヤを装着してからは奮闘を続けたが、ライバル勢をオーバーテイクしてポジションをばん回するまでには至らなかった。今週のロングビーチでは、相手が明らかなミスを犯さない限りオーバーテイクは難しかった。

 佐藤琢磨(KV Racing Technology)は19番グリッドからスタートし、18位でゴールした。結果は1つのポジションアップとなったが、トップから1周遅れのフィニッシュであり、納得のいくレースにはできなかった。1回目のピットストップを終えた後、ピットから出てきたばかりのドライバーにヒットされてスピン。レースに戻ることはできたものの、そこでのタイムロスが大きく周回遅れに陥らざるを得なかったのだ。それでも、4戦目にしてレースのほぼフルディスタンスを走りきり、多くの経験を重ねることはできた。

 次の第5戦カンザスからは、インディ500、テキサス、アイオワとオーバルでのレースが4戦続けて開催される。

コメント
ライアン・ハンターレイ(優勝)
「チャンスをくれたマイケル・アンドレッティとスポンサーに感謝したい。彼らは私の能力を全面的に信頼し、サポートしてくれた。ロングビーチではオーバーテイクが難しいので、レース序盤はパワーの後ろを走り、燃費のセーブに努めていた。すると突然パワーが失速し、彼を抜くことができた。今日は私が最速だった。彼をあそこで抜けなくても、レース中のどこかで彼の前に出て、優勝できたと思う。3人のチームメートたちにも感謝している。3人ものチームメートを持つのは今年が初めての経験だが、多くの情報が得られる上、多くのアイデアが出され、マシンを向上させることができている」

ジャスティン・ウィルソン(2位)
「周回遅れのドライバーにヒットされ、ピットで修理をすることになった。あのアクシデントは本来なら起こるべきではなかった。周回遅れになってもトップグループとポジション争いをする。それはいいとしても、相手にギリギリのスペースは与えて戦うのがルールのはずだ。ウイング交換を行い、早めのピットストップを強いられたために燃費のセーブも大変だった。そうした状況に置かれながらも我々は2位でゴールした。マシンが本当にすばらしいものだった上、チームもピットストップの速さなど、高い能力を発揮してくれたからだ。我々はあと少しで勝てるところまできている」

ウィル・パワー(3位)
「ギアが1速にスタックして順位を落とした。あのようなことはこれまでに一度も起きたことがなく、まったくの原因不明だ。もっと多くのマシンにパスされたと思ったが、3位までの後退で済んだ。今日のレースはハンターレイのものだった。彼はプラクティス1回目から非常に速く、レースでも安定していた。アンドレッティのチームが勝てる力を取り戻し、Dreyer & Reinbold Racingも今シーズンのレースでは速さを発揮し続けている。今シーズンの競争は本当に厳しく、一切の油断はできない。今日はトラブルがありながらも3位でフィニッシュできたことを喜びたい」

武藤英紀(13位)
「ソフトコンパウンドのレッドタイヤで走ったレース序盤が厳しかったです。速いペースを保ち続けられず、苦しい展開になっていました。ハードコンパウンドのタイヤでは決して悪くないラップタイムを刻めていましたが、我々のチームはロードコース用のセッティングをもう一段レベルアップする必要があると感じました。次のレースからはオーバルになりますが、またロードコースを走る時がくるまでにセッティングのいい方向性を見つけなければなりません。今日はフルコースコーションも序盤から中盤に出なかったため、他のチームと違う作戦を採用してポジションを上げるということもできないレースになっていました」

佐藤琢磨(18位)
「1回目のピットストップの後、ピットから出て来たばかりでタイヤの温まっていない状態のアレックス・ロイド(Dale Coyne Racing)がブレーキングで止まれず、私のマシンにぶつかってきました。その時点で今日の我々のレースは終わってしまいました。フルコースコーションが少ない中、ポジションをばん回するチャンスもなく、レースが終盤に入るところでトップにラップされてしまいました。それでも今週は1つのレースウイークエンドをコンプリートしました。プラクティスから予選でペースが上がりませんでしたが、それを決勝日のウオームアップでばん回させることもできました。厳しい週末でしたが、チームメートが6位でゴールしましたし、それを自分たちの勢いにして今後のレースも戦っていきたいと思います」

エリック・バークマン|HPD社長
「すばらしい天気、大勢のファン、エキサイティングなレースと、ロングビーチには今年もストリートレースの魅力のすべてがそろっていた。そして、新しいウイナーが誕生した。ハンターレイとAndretti Autosportは見事な戦いぶりで勝利を手に入れた。新体制での勝利をチームは喜んでいることだろう。ストリートレースはどのコースでもオーバーテイクは難しい。しかし、それはインディカー・シリーズに出場しているチームの実力がとてもハイレベルで拮抗しているためだ。今日は緊張感の張り詰めたバトルがスタートからゴールまで続いていた。昨年は2チームの実力が突出していたが、今年はAndretti Autosport、Dreyer & Reinbold Racing、KV Racing Technologyといったチームが激しく競い合っている。今シーズンの今後の展開が大いに楽しみだ」

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