アラバマ州にあるバーバー・モータースポーツパークで開催されたIZODインディカー・シリーズ第2戦。7日に行われた決勝レースは、ディフェンディングチャンピオンのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がポール・トゥ・ウインで今季初勝利を挙げた。佐藤琢磨(AJフォイト)は、14位でレースを終えた。
絶好のレース日和に恵まれたバーバー・モータースポーツパークには5万7000人を越すファンが詰めかけ、90周のインディカー・レースを楽しんだ。
スタートはポールのハンター-レイがトップをキープしたが、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)はターン1でコースからはみ出し、8番手まで大きく後退。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)も4番手スタートだったがふたつ順位を落とした。
7番手スタートだったマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)はハードのブラックタイヤながらスタートで3番手までジャンプアップ。しかし、ブラックではその位置をキープし切れず、ジリジリと順位を落として行く戦いとなった。
予選3番手だったルーキーのトリスタン・ボティエ(シュミット・ピーターソン)と、予選5番手のチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ)が2番手争いを展開する間に、トップのハンター-レイは大きなリードを築き上げた。しかし、1回目のピットストップを延々引っ張ったパワーがレース中盤に彼の前に立ち塞がる。
ソフトのレッドタイヤを3スティント連続で投入して予選6番手からエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がトップに躍り出たのは、レースが折り返し点を過ぎた51周目。ハンター-レイはレッドを履きながらブラック装着のパワーを抜きあぐね、カストロネベスとの間に10秒以上もの大差をつけられてしまった。
それでもハンター-レイには勝算があった。カストロネベスはゴールまでのファイナル・スティントをブラックで戦わねばならない状況になっていたのに対し、ハンター-レイは新品のレッドを残していたからだ。最後のピットストップを終えると、彼は一気にトップとの差を縮め、76周目にトップへと返り咲いた。
これで勝利はハンター-レイのものに決まったと思われたが、ディクソンが凄まじい追い上げを見せ、ハンター-レイの背後に迫る。ふたりの差はゴールまで残り5周の時点で1秒を切った。ディクソンは最後までアタックするも、ハンター-レイはミスのない走りでトップの座を守り抜いた。ゴールでの彼らの差は0.6363秒だった。
「序盤にカストロベスと接触した。お互いにあれでマシンが壊れなくてよかった。最後はスコットとの激しいバトルになり、全力で逃げた。レース中盤にはブラックを履くパワーに抑え込まれるし、大変なレースだった。勝てて嬉しいよ」とハンター-レイは喜んでいた。
ディクソンは、「おそらく僕らのマシンが今日は最速だった。しかし、序盤と中盤にトラフィックの中でタイムをロスし過ぎた。4年連続2位は悔しいが、マシンが速かったことで次戦以降に大きな期待が持てている」と語った。
大きく離されはしたが、カストロネベスは3位でゴール。開幕から2戦の連続トップ3は彼だけで、ポイントランキングのトップに躍り出た。ディクソンは2戦連続トップ5入りでランキング2位につける。そして、シーズン2戦目にして優勝を飾ったハンター-レイがランキング3位となった。
予選5番手だったキンボールが4位でゴールする殊勲を挙げ、2ストップでゴールまで走り切ったパワーが5位。6位には13番手スタートからサイモン・ペジナウ(シュミット-ハミルトン)が食い込み、アンドレッティは7位でゴールした。
ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン)は8位。アンドレッティ同様に2戦連続でのトップ10フィニッシュだ。そして、22番手スタートからジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー)が9位でゴールする戦いぶりを見せ、予選3番手だったボティエはインディカー初完走を10位で果たした。
佐藤琢磨は12番手スタートから14位でゴールした。今回は得意のスタート、リスタートで順位を9番手まで上げたが、1回目のピットストップで順位を落とし、2回目のピットではギヤが入らないトラブルにより23番手まで大きく後退。しかも、コースに出ればトラフィックに悩された。
それでもマシンの仕上がりは良く、自分の前にスペースができれば速いペースでの走行が可能となっており、14位でゴールした。移籍をしたチームで戦う最初の2レースで連続完走を果たした彼は、「結果は残念なものになったが、レース内容は良かった。今年はストリートも常設ロードコースでも速いマシンを作ることができている。このスピードをロングビーチでも見せるようにしたい」と語っていた。