スーパーGTニュース

投稿日: 2013.05.08 00:00
更新日: 2018.02.16 15:55

谷口「なんとか入賞できたのは不幸中の幸い」


2013 AUTOBACS SUPER GT DRIVER 谷口信輝 片岡龍也
ROUND2 FUJI GT500km RACE

タイヤトラブルに見舞われるものの、9位完走

 2013年4月28・29日の2日間2013 AUTOBACKS SUPER GTシリーズ第2戦『SUPER GT FUJI GT500KM RACE』が静岡県の富士スピードウェイで開催された。
 今回の第2戦はレース距離が500KM。通常のレースよりフレキシブルな作戦展開も可能な為、特にチームの総合力が勝敗のカギを握る事になる。開幕戦2位完走で幸先良いシーズンスタートを切ったチームは、王者奪還への足がかりをより強固なものとするべく、この第2戦も必勝の思いでレースに挑んだ。

4月28日(日)練習走行・予選
練習走行
 シーズン第2戦の初日は晴天の下スタート。天候に恵まれたGWの直中という事もあり、例年の第2戦に増して、スタンドも賑わいを見せていた。

 練習走行は定刻通り9:00スタート。このセッション、まずは谷口選手がマシンに乗り込み、マシンはコースへと向かった。コースインした4号車は、まずアウトラップ中に無線のチェック、マシン各部機能の作動確認を実施する。システムは全て異常なし。前戦の結果を受け、ハンデウェイト30kgを積んだ4号車だが、計測を開始した谷口選手からの無線によると『マシンのバランスも悪くない』との事。谷口選手はその後タイヤ評価等のメニューを消化しつつ周回を重ね、12周目に4号車このセッションのbestタイム1分39秒222を計測。セッション中盤の22周目に片岡選手へステアリングを渡した。

 谷口選手から代わった片岡選手もまずはマシンバランスのチェックから走行をスタート。ブレーキ系の評価を行いつつマシンバランスを更に煮詰める作業に担当時間の前半を費やした。片岡選手はその後セッションの終盤にタイヤのロングラン評価を行い、4号車はこのセッションを6番手のポジションで終えた。

公式予選Q1
 午前の練習走行セッションに引き続き、午後からの予選のセッションも定刻通りに進行。予選2回目(Q2)への進出車両13台を決める予選一回目(Q1)は14:00にスタートした。4号車のこのQ1は片岡選手が担当する。14:00コースオープン。チームはマシンを11台目にコースへ送り出した。片岡選手のドライブする4号車はアウトラップ後の計測2周目がその時点のTOPタイム、続く計測3周目には4号車このセッションのbestタイムでその時点の3番手につけた。しかし、そのタイムを伸ばす事が出来ず、4号車は13番手のタイムでQ2へ進出した。

公式予選Q2
 Q2は500クラスQ1での赤旗中断の影響を受け、定刻より9分遅れの14:49にスタート。チームは谷口選手がステアリングを握る4号車をコースオープンと同時にコースへ送り出した。谷口選手の駆る4号車は4台目にコースイン。アウトラップに続く計測1周目のコントロールラインを1分40秒189で通過した。続く2周目はこの時点でのQ2のTOPタイム1分38秒912を計測。続く計測3周目も1分38秒981と続けざまに38秒台を計測するが、谷口選手からの無線によると、これ以上のタイムアップは難しいとの事。チームはアタック終了の判断をし、マシンをPITに戻した。Q2はその後ストレートスピードに優れるJAF GT勢が次々とタイムを更新。4号車のQ2は13台中8番手で終了した。

4月29日(月)決勝
天候:晴れ/コース:ドライ
 第2戦決勝日の天候も初日に引き続き晴天。予選日であった前日の入場者数31,600人を大きく上回る48,500人の観客で、富士スピードウェイのスタンドは埋めつくされた。この時期らしいさわやかな気候の中行われた午前のフリー走行では、4号車はレースのシミュレーションに専念。谷口・片岡両選手が走行を行い、11番手のポジションでセッションを終えている。

 12:55ウォーミングアップ走行スタート。4号車は先日の予選結果を受け、8番のダミーグリッドに着いた。この第2戦は谷口信輝選手がスタートドライバーを担当する。決勝は定刻通り14:00にローリングラップからスタート。隊列が動き出した直後、グリッド前方の300クラスのマシンがスピンを喫するが、ローリングラップの周回が増える事は無く、セーフティーカーはPITロードへ向かい500kmの戦いの火蓋が切って落とされた。

 300クラスコントロールライン通過。8番手スタートの4号車は、その位置をキープして1コーナーを通過した。スタート直後の混乱も無く、レースはここからポジションを上げるだけの展開に思えたが、次にコントロールラインを通過した際の4号車のポジションは15番手に後退。誰もが苦しいレース序盤を想像したが、その直後に前方を走るJAF GTのマシン2台にトラブルが発生。4号車は4周目のコントロールライン通過時点でそのポジションを10番手に戻した。谷口選手はその後、中段グループに捉まり12~13番手のポジションで前半の周回を消化する。

 4号車のレースが動き始めたのはレースディスタンスの1/4を消化しようかという25周目。中段に埋もれ動きの取れない状況を脱却すべく、チームはPIT戦略を変更し早くもここで一度目のPIT作業を実施。ドライバー交代と給油・タイヤ交換を済ませた4号車は18番手のポジションでコースへ戻った。谷口選手に代わってステアリングを握った片岡選手は、燃料消費を抑えたペースで着実に周回数を消化。4号車のレースは前方を走る集団のPIT作業を待つ展開となった。

 30周目付近、前方を走る車両が次々にルーティンのPIT作業へ向かい始める。この時16番手だった4号車は32周目に14番手、36周目に8番手、39周目には4番手とそのポジションを上げ、迎えた41周目についに3番手へと浮上する。的確なPIT戦略で表彰台圏内を走る片岡選手はその後もペースを維持し、後方4番手のマシンとのギャップを拡大。中盤の周回を手堅く重ね、このまま走りきれば表彰台は確実とチームの誰もが思い始めた矢先、4号車をトラブルが襲った。

 59周目の1コーナーへ差し掛かった4号車の左フロントタイヤがパンク。片岡選手はマシンのダメージを最小限に抑える為、ペースを落としPITへと向かった。この時、4号車を迎える準備を整えつつあるPITではパンクによるロスを最小限に抑えようと、再び戦略の変更を決断。数周あとに予定していたドライバー交代をこのタイミングで終えてしまおうと、燃費計算とドライバーの準備を急いだ。4号車到着。マシンへのダメージがほぼ無い事を確認したPITでは、すぐさま給油とタイヤ交換を終了。マシンは再び谷口選手のドライブで15番手のポジションでコースへ復帰した。

谷口選手はその後しばらく15番手を走行。予定の周回より早くPIT作業を迎えた為、4号車のレースは燃料の消費をセーブしつつ前を行くマシンのPITを待つガマンの展開となった。レースが再び動き始めたのは67周目。前方を走るマシンがPITのタイミングを迎え、4号車は14番手へ。その後72周目に13番手、続く74周目には11番手へと再びポジションを上げ始めた。76周目にはポイント圏内の10番手に浮上。レース終盤の93周目に9番手までポジションを上げるが、その時点で前を行くマシンとのギャップは14秒。谷口選手は最後までタイヤをいたわる走行を続け、4号車の第2戦は9位完走で幕を閉じた。

■鈴木康昭エントラント代表
「燃費を稼ぐ走りだったので、ドライバーはとてもフラストレーションが溜まっていたと思いますが、作戦も良かったし、燃費もタイヤもバッチリだったんですけど……。非常に悔しい展開になってしまいましたね。サーキットのレイアウト上、左前のタイヤは厳しいだろうというのは想定していたんですが、まさかパンクしてしまうとは」

「そんな中でもポイント圏外から復帰して2ポイントを取ることができたのは、谷口&片岡選手というドライバーだからこそでしょう!これからもしぶとく生き残っていきますよ!」

■大橋逸夫監督
「実は作戦は2種類くらいしかなくて、燃料とドライバーの規定周回数の問題をどうするかなんです。1stスティントを引っ張って、2ndをある程度伸ばして、3rdはショート(少ない周回数)、みたいな作戦もありました。これだと、様子を見つつタイヤ無交換もありだな、とか思ってたんですけど、1stスティントで予想外にロスが大きかったので、早めにピットに入れました。次の片岡選手にはタイヤをいたわりながら多めに走ってもらって、最後の谷口選手に繋ごうかと思ったんですが、予想外のパンクが起きてしまいましたね」

「後のことを考えると、ガソリンも周回数もギリギリでしたが、あそこでピットに入れるしかなかった。ただ、パンクがあの周(59周)よりも前に起きていたら、ピット回数は確実に増えていたと思います。富士スピードウェイをパンクしながらほぼ1周走ったのに、クルマが壊れなかったのは良かったですね。大きい不運があったけど、小さな幸運に助けられる。そんなレースでした」

■片山右京スポーティングディレクター
「ペースは悪くなかったし、全体的には周りと戦えていたと思います。序盤に混乱に巻き込まれてしまいましたが、ピットインのタイミングもピット作業も早かったし、片岡選手がタイヤと燃料をいたわって走ってくれたので順位があれだけ(3位)上がりました。このままいけば3位は確定だったんですけど、トラブルが起きてしまい……」

「それでもなんとか谷口選手が頑張ってくれて2ポイント取れたのは、パンク後にポイント圏外に落ちてしまったことを考えると本当に素晴らしいことです。パンクしていなければ3位、パンクしても9位という成績からわかるとおり、チーム力は非常に高いので、まだシーズンも始まったばかりですし、今後も取りこぼさないようにいきたいですね」

■谷口信輝選手
「1stスティントは、これでもかっというほど他のクルマに飲み込まれてしまい、ある程度の覚悟はしていたのですが、予想以上に飲み込まれて順位が大きくダウンしてしまいました。その後も、コース上でオーバーテイクすることができず、なんでこんなに苦しいのかというくらい苦しい状況だったんですけど、作戦のおかげでなんとか3位まで上がることができて、片岡選手からバトンを受け取ったらなんとしてもこの順位を守るぞ!と気合いが入っていたんですが、その矢先に不運なアクシデントに見舞われてしまって。幸い片岡選手がピットまで戻ってきてくれて、さらにクルマもパンク以外は問題なさそうだったので、そのままレースに復帰できました」

「なんとか9位でポイントを取れたというのは不幸中の幸いでしたね。レース後半でも燃料もタイヤも問題なかったので、タラレバを言えば3位はいけたんじゃないでしょうか。まあ、これもレースですね。次のセパンも作戦と粘りの走りで取り戻します!」

■片岡龍也選手
「パンクに関しては、乗っててそのような兆候がなかっただけに突然起きてしまってアンラッキーとしか言いようがないですね。1コーナーのブレーキを踏んだ瞬間にパンクして、そこから丸々富士の1周を走ったので、だいぶ周囲のライバルたちに置いていかれてしまって、ロスが非常に大きくなってしまいました」

「作戦もきまってたし、自分たちのレース展開だったんですけど、神様が『まだだよ』と言っているのか、このような悔しい結果になってしまいましたね。応援していただいた皆さんには申し訳なかったですが、ただ、チームの強さは証明できたと思うので、次戦以降巻き返していきます!」


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