6シーズンぶりの国内トップフォーミュラ参戦で悲願の初優勝を果たした石浦宏明。得意の岡山で小林可夢偉との接戦を制して見事、表彰台の中央に初登壇したが、P.MU/CERUMO・INGINGのチーム監督である立川祐路にとっても、監督して初の表彰台となった。チームとしては2007年以来の国内トップフォーミュラの勝利。表彰台後に行われる記者会見に出席し忘れて、優勝監督会見に遅刻するなど初々しい立川監督に、今回のレースを振り返ってもらった。

ーー監督として、初めて表彰台に上がりました。

「なんか、妙な感じでした。しかも、(スーパー)GTで一緒に組んでいる石浦とだったので、なんか変な感じでしたね。まず、表彰台に監督として上る時にどんなテンションで上がればいいのか分からなかった。はしゃぐのも変だし、どんな感じで上ればいいのかなって、ちょっと分からないまま上りました。照れましたね。自分がドライバーとしてでもないし。なので、とりあえず表彰台では石浦よりも一歩下がりました。あんまり前に出て、出たがりと思われるのも嫌なので」

ーー今週末を振り替えて、石浦選手の一番のピンチは決勝前のフリー走行のトラブルだったと思います。

「そうですね。フリー走行でのトラブルはもう、PP獲った後だけに嫌ですよね。ポールを獲って、あとはレースセットを確認する場所なんですけど、肝心な時にほとんど走れなくて。プレッシャーというか、より緊張感が高まりますよね」

ーーその点、同じ現役ドライバーの視点から、立川監督は石浦選手にどんなアドバイスやケアをしたのですか?
 
「いや、別に何も」

ーーでも、肝心な時にトラブルと、先ほど……

「いやもう、石浦は大人だし、ドライバーとしてもベテランの域なのでその辺は大丈夫。元から落ち着いているドライバーだから。そういう意味では全然、メンタル面では心配していない。ただ、やっぱり決勝に向けてのクルマの確認が何もできなかったので、それは不安でしたけど、石浦とチームのスタッフ含めて、みんながそのハンデを乗り切ってくれた。みんなの頑張りのお陰ですね」

ーーレースは終始、接戦でした。特に後半戦の小林可夢偉選手との一騎打ちはどのように見ていましたか?

「後半は結構、安心して見ていました。今回の一番のポイントはピットのタイミングと作業でミスをしないかだったので。そこが無難にこなせたので、そこからは安心して見ていました。唯一、可夢偉選手が裏ストレートで仕掛けてきた時がありましたけど、石浦がミスさえしなければ大丈夫だと思っていました」

ーーそこは立川監督もこの岡山を良く知るだけに、抑えるポイントも分かっている。

「やっぱり僕の経験上、このサーキットで抜くのは大変だし、自分がミスると大変だけど、石浦はミスの少ないドライバーですから。チームスタッフはレースが終わるまでピリピリしていたと思うんですけど、僕の中ではもう、ピット作業が終わった段階で70%くらいはいったかなと。それぐらい、石浦は安心して見ていられるので。GTで一緒に乗っているからこそ、石浦のことも良く分かっているので、大丈夫だと」

ーーレース終盤は立川監督がよくテレビにアップで映りました。

「なんか、落ち着かなかったですね。ずっとカメラで撮られていて、いつ映っているか分からないから油断ができなかった。眠そうにしてあくびをしてもマズイので気を抜けませんでした。こっちの緊張感も高かった。レースではチームルマンの8号車もすぐ後ろにいたので最後まで気の抜けない展開でしたけど、今日は面白い、良いレースができたと思います」

 スーパーフォーミュラでは最年少監督、スーパーGTではベテランとして石浦宏明のチームメイトでもある立川祐路。石浦の初優勝の喜びを立川節で表現してくれたが、立川監督率いるP.MU/CERUMO・INGINGの若くて笑顔の多いチームの雰囲気に、新しい時代の到来を感じずにはいられない。

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