昨年までスクーデリア・フェラーリで、ビークル&タイヤインタラクション・デベロップメントとして活躍した浜島裕英。その浜島さんのコラムがF1速報サイトで連載中です。題して、「浜島裕英のグランプリ人事査定」。今回、F1速報サイトでしか読めない第7回コラムの一部をお届けします。
第七回査定:勝利の女神
モナコGP。
スペインGPでの敗戦を受け、ルイス・ハミルトンには期するところがあったのだろう。フリー走行での積極的な走りからも、それは読み取れた。
ハミルトンは、予選でポールポジションを獲得し、決勝では見事なスタートを決め、4周目にはセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に追いすがられる2番手の僚友ニコ・ロズベルグに2.2秒以上の差をつけ、快走。38周目にはトップを譲ることなくタイヤ交換を終え、チェッカーに向かってまっしぐら。誰もがハミルトンの優勝を確信した65周目に事件は起きた。
結果、ロズベルグが連勝し、しかもモナコGP三年連続制覇。ベッテルが2位、そしてハミルトンはこともあろうか3位となってしまった。モナコGPの勝利の女神に愛されているのはロズベルグだ、と思った人は少なくないだろう。
さて、今回ピレリが持ち込んだタイヤは、今シーズン初登場のスーパーソフトとソフトの組み合わせ。スーパーソフトのコンパウンドは昨年のものとは異なり、ややソフトタイヤ寄り、すなわち昨年のものよりも硬めの仕様となった。一方のソフトは、昨年と同じコンパウンドだ。
構造に関しては、今シーズンのタイヤはリヤにモディファイが加えられ、トラクションがより掛かりやすいものに変更されている。このことによりモナコでは、ただでさえ暖まりにくいと言われてきたソフトだけではなく、スーパーソフトも暖めにくい傾向が顕著になった。ドライバーコメントで、「フロントが暖まらない」というのを随分とお聞きになったことだと思う。
F1の場合、リヤタイヤはトラクションがかかり、ブレーキングでの入力もあるので、フロントタイヤよりも暖まりやすい。しかし、フロントタイヤに関しては、ブレーキングとウィービング(ストレートを蛇行して、タイヤの発熱を促す行為)による入力で暖めるしかなく、しかもリヤの構造変更により、フロントのグリップは相対的に低く感じてしまう状況となっている。これを助けるために、チームはいろいろなことを講じるのだが、今回はブレーキディスクの熱まで利用して、タイヤを暖めようとしている涙ぐましい努力をご紹介しておきたい。
・ブレーキディスクのスリットを使って…
・そもそもタイヤ交換が必要だったのか
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