スーパーGT500クラスとの統一車両規定を採用しているDTMドイツツーリングカー選手権が、2017年から導入予定の4気筒ターボエンジンの導入を19年まで延期させる可能性があると英AUTOSPORT.comが報じている。
DTMとGT500クラスは、2014年から『クラス1』と呼ばれる統一車両規定を導入。モノコックなど多くの部分で同等の車両規定が採用されているが、エンジンやタイヤ、そしてレースフォーマットに関してはまだ隔たりがあり、17年の完全統一を目指している。
エンジンについては現在、GT500では2リッター直4直噴ターボエンジンが採用されている一方、DTMでは4リッターV8自然吸気エンジンが採用されている。そんな中、今年5月には、クラス1規定のもとで17年からは4気筒ターボエンジンを採用することで合意に達したと発表された。
来年後半を目安にターボユニットの開発に力を注いでいるというアウディ、BMW、そしてメルセデスのドイツ陣営3社だが、現在その新エンジンに関して、開発コストの面から導入を延期すべきではないかという議論になっているという。
アウディのDTMチーフディレクター、ディーター・ガスは「決定はすぐに下されるべきだ」と話す。
「最終的な決定が下されるまで、我々は予定通り4気筒エンジンの開発を続けていくつもりだ。それは必要なことだと考えているからだ」
「もし(開発を)ストップさせたとしても、方針が変更になることを考えると、取り戻すには手遅れになってしまうかもしれないからね」
とはいえガスは、17年の導入にこだわるにしても19年まで延期するにしても、ターボエンジンが今後の方針から完全に外れることはないだろうと話す。
「遅かれ早かれ、それはDTMに導入されるべきものだ。V8を永遠に続けていくべきではないと考えている」
3社の役員も出席したマニュファクチャラーとオーガナイザーのミーティングは、先日行われた最終戦ホッケンハイムでも続けられた。
「我々は全体的な状況を考慮に入れる必要があったんだ」と話すのはBMWモータースポーツ代表のイェンス・マルカルト。
「我々3社は現在、ほかにも世界的な状況に直面している。例えば、ここのところ中国での販売台数が予測していたレベルには達していないし、ドイツ国内でも間違いなく非常に特殊な状況(※フォルクスワーゲンの排ガス不正問題)を抱えており、それはいずれアウディにも影響をおよぼす可能性がある」
「我々は皆、チャンピオンシップにおける支出について注視しており、それが何を意味するのかを把握しておく必要があるんだ」
DTMは11月末にドイツで開催されるエッセン・モーターショーで今後の方向性の概要を明かす予定。そこでは、クラス1の完全な技術的な枠組みやターボエンジンに関する結論なども明かされると見られている。