更新日: 2020.10.15 13:24
渾身の走りで批判をはねのけたアレックス・マルケス/MotoGP第10戦フランスGPレビュー
MotoGP第10戦フランスGPの決勝で、アレックス・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がMotoGPクラス初表彰台となる2位に入賞した。アレックスはマルク・マルケスの弟で、今年からMotoGPクラスにステップアップしたライダーだ。
アレックスは常に兄マルクの背中を追ってレースを続けてきた。兄のマルクは125ccクラスでは3年目、Moto2クラスでは2年目でチャンピオンを獲得し、MotoGPクラスではデビューレースで初表彰台に立ち、2戦目で初ポール&初優勝を達成。数々の記録を更新して1年目でタイトルを獲得した。
アレックスも2012年にMoto3クラスでグランプリデビュー、3年目の2014年にMoto3クラスのタイトルを獲得。ここまでは順調だったが、Moto2クラスでタイトルを獲得するまでには5シーズンがかかった。それでもほかのライダーと比べて、アレックスが特別に時間がかかった訳ではない。兄のマルクが異例なのだ。
アレックスもMoto2クラス2年目には初表彰台に立ち、3年目には初優勝を含んで3勝を記録している。Moto2クラス3年目以降はトップライダーとしてチャンピオン争いに加わり、昨年は通算5勝、通算10回の表彰台に立ち、6回のポールポジションを獲得してチャンピオンを獲得している。
しかし、周囲は兄のマルクと弟のアレックスを比較してしまう。アレックスがMotoGP昇格に当たって、いきなりファクトリーチームのレプソル・ホンダに加入したことも、アレックスにとってはプレッシャーとなった。さらにデビューシーズンの今年は新型コロナウイルスの感染拡大でスケジュールが大きく変わり、2月のテストから約5カ月、アレックスはMotoGPマシンに乗ることができなかった。そして、シーズン再開1戦目のスペインGPで兄のマルクが負傷、本来なら同じピットで兄のアドバイスを受けながら、実戦経験を積むチャンスまでも失ってしまった。
そうした背景もあり、シーズン序盤、アレックスはなかなか結果につながらないレースを続けることを余儀なくされた。特に予選では一度もQ2に進んだことがない。そんなアレックスに変化があったのが、第7戦サンマリノGPと第8戦エミリア・ロマーニャGPの2連戦。サンマリノGP直後に同じミサノでテストが行なわれ、ここでアレックスは走り込みや異なるマシンセットアップへのトライを行ない、MotoGPマシンを走らせるための何かをつかんだようだ。
エミリア・ロマーニャGPでは予選こそ17番手だったが、決勝ではMotoGPクラスでベストリザルトとなる8位に入賞。続くホームレースの第9戦カタルーニャGPではその活躍を再現できなかったが、第10戦フランスGPでは決勝直前に降って来た雨も、アレックスに味方した。18番グリッドからスタートしたアレックスは、1周目には10番手に浮上。さらにそこから前を行くライダーをパスすると、26周のレースの20周目に表彰台圏内に入り、24周目には2番手に浮上。トップを行くダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・チーム)には届かなかったものの、1.273秒差の2位でチェッカーを受けた。この表彰台はホンダにとって今シーズン初ともなった。