Nick Richards

 autosport web/F1速報公式サイトで長年連載してきた「ホンダF1甘口コラム」「ホンダF1辛口コラム」の「辛口」パートの執筆者ニック・リチャーズ氏が記す、F1界の政治問題をテーマにするコラム。独自のシニカルな視点で時事に切り込む。

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 焼けつくような日差しに代わって、いつものイギリスの夏が戻ってきた。どんよりとして、湿度が高く、時折雨が降る日々だ。ハンガリーGPの決勝をテレビで見ながら、フェラーリの勝利を祝おうと、イタリア産のフレッシュなプロセッコで乾杯する用意をしていたら、飲みすぎを常に心配している妻が書斎まで様子を見にやってきた。

 その後、フェラーリの勝機がなくなったのを知った私は、思わず「一度ぐらいフェラーリで働いてみたかったな」と妻に語りかけた。レース業界で長いキャリアを持つ私だが、フェラーリで働いたことは一度もない。だが「フェラーリで働いてみたかった」と言ったのは、自分なら彼らのやり方を少しでも変えることができたかもしれない、と思ったからではなく、彼らのやり方を内側から見てみたかったと思ったからだった。彼らにとっての最大の敵は自分自身であり、自分の足を引っ張る能力は信じられないほどのものだ。それが発揮される様を当事者として見てみたかったと思ったわけだ……。

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