投稿日: 2023.06.22 18:00
更新日: 2023.06.30 15:28

ThreeBond Racing スーパーフォーミュラ第5戦SUGO レースレポート


スーパーフォーミュラ | ThreeBond Racing スーパーフォーミュラ第5戦SUGO レースレポート

高い壁の向こう側へ

 2023全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ第4大会(第5戦)が、6月17日(土)~18日(日)にかけて宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。昨シーズン、SUGOラウンドでは、公式予選でチーム創設以来最上位の予選6番手から決勝レースに臨み、これもまたチーム創設以来最上位の8位でレースをフィニッシュ、初の選手権ポイントを獲得した。

 一方、今シーズンのチームはここまで3戦連続でシリーズポイントを獲得している。本来ならば波に乗ってレースウィークを迎えるところだが、チームは決して今回のレースを楽観視していなかった。今シーズンから導入したSF23が走行中に示す挙動について、まだ明確な解決策を見出しているわけではなかったからだ。

Round.5 公式予選

 前日まで降っていた雨は上がり、公式予選の行われる17日(土)は、朝から快晴となった。午前中のフリー走行セッションで福住選手のラップタイムは伸び悩み、出走22台中、トップから1秒884後れの20番手で走行を終えた。

 公式予選に向けて改めてセッティングを施し、午後の公式予選Q1-A組に福住選手を送り出した。セッション終了4分前にニュータイヤを装着してコースインした福住選手はインラップを含め2周かけてタイヤをウォームアップしタイムアタックに入ると1分06秒575を記録、2番手につけた。この直後、コース上でアクシデントが発生し、セッションは打ち切られた。

 福住選手が計測を終えた直後に福住選手を上回るタイムを記録する選手が現れたがその他の選手はタイムアタックをすることができないまま予選セッションが終わり、3番手でQ1セションを突破しQ2へ進出することになった。

 太陽が照りつけ路面コンディションが変化するなか、Q2セッションが行われた。このインターバルにチームはセッティングを微調整して福住選手をコースに送り出した。福住選手は、前戦オートポリス同様、タイヤ のウォームアップを1周にしてタイムアタックを行う作戦を選んだ。しかし必ずしもセッティングと作戦の変更は良い方向には働かず、タイヤが十分暖まらなかったこともあって福住選手のタイムは出走12台中12番手に終わり、スターティンググリッドが決定した。

Round.5 決勝

 18日(日)も朝から晴天となり気温、路温とも上昇したが、14時30分に予定されていた決勝レースのスタート時刻が迫ると空に薄雲が拡がり風も出て、凌ぎやすいコンディションとなった。

 スタート直後、後方集団でアクシデントが発生しオープニングラップのうちにセーフティーカーが介入したが、福住選手は12番手のポジションを守って隊列走行に入った。

 レースは5周目に再開され、福住選手は12番手のポジションのまま周回を重ね、規則で定められたレース中のタイヤ交換義務を消化するためのピットインが許される10周を過ぎた段階でライバル車に先駆けてピットイン、タイヤ交換を行った。コースに戻った福住選手の見かけ上の順位には16番手まで後退した。

 チームとしてはニュータイヤを装着し、前後の競技車両がいなくなって単独走行ができるようになった状態で、燃料を消費して車体が軽くなればタイムが上がっていき、実質上の順位を上げていけるはずという計算だった。しかし、単独走行になっても福住選手の車両に操縦安定性の向上は見られず、ラップタイムは当初9秒台に入ったものの,その後は逆に10秒台へ低下して作戦は裏目に出てしまった。

 その後、苦しい走りとなった福住選手は、自身よりも後ろでタイヤ交換を行った選手がペースを上げて接近してくるのを防ぎきれず、オーバーテイクを許さざるを得ない状況となってしまった。

 結局、福住選手はレース序盤に後方を走っていた選手にも先行されて実質上の順位を落とし、16位でチェッカーフラッグを受けた。3戦連続で獲得していたシリーズポイントは追加することができず、シリーズポイントランキングは10番手から14番手へ後退した。

 シリーズ第5大会(第6戦)は、7月15日(土)~16日(日)、静岡県の富士スピードウェイで開催される予定になっている。

2023スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

■ドライバー 福住仁嶺 コメント

「Q1で3番手にはなりましたが、手応えがあったというわけではなくて、多分セッションが打ち切られたためにタイムアタックできなかった選手たちが大勢いて、その結果3番になっただけで、タイム差を見ると速い選手に対して後れがかなりありました」

「Q2では少しセッティングを変えて走りましたが、僕の感覚としては、手応えが全然ない状態でした。決勝も、その前の朝のフリー走行やウォームアップ走行でも同じような症状を全く消すことができなくて、結局決勝はその状態で迎えてしまいました」

「これは厳しい戦いになるなと予想はしましたが、決勝レースがここまで厳しくなるとは、正直、思ってはいませんでした。ただ、我々は1台で戦っているチームですし、過去のデータも少ない状況なので、ここまで積み重ねてきたクルマ作りの方向性をレースウィークに大きく見直すのは、難しい週末になりました」

「今回のレース結果は、僕らが今持っているパフォーマンスがまだまだ足りていないという証明である気がしています。周囲のチームも色々と変わってきているし、僕らは、そこについていかないといけない、というのが正直なところです。次大会の前には、同じ富士でテスト走行する機会がありますし、そこで、これまで全く行ったことない領域のところを色々と試し、チームのみんなで改めて方向性を考えたいと思います」

2023スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 福住仁嶺(ThreeBond Racing)
2023スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 福住仁嶺(ThreeBond Racing)

■監督 道上龍 コメント

「スポーツランドSUGOは、去年初めて、チームとしてポイントを取ったコースなので今年も楽しみでした。でも、フリー走行からいまいちタイムが出ず、それをなんとかリカバーして予選のQ1では、3番手というタイムを出すことができました。これはチームとして、今まで苦労してきた分成長して、ダメな時のリセットがうまく機能した成果かなと思います」

「しかしQ2は、少し欲を出してセットアップなど攻めたりタイヤのウォームアップのやり方を変えたりした結果、それが裏目に出てしまって、12 番手になってしまいました。ここから追い上げていかなければと、朝のフリー走行30分で色々と考えて、ドライバーとエンジニアと話し合って、レース中の作戦も考えて臨んだのですが、自分達の思うような作戦が成り立たず、思っていた順位にまで上がることができませんでした。そういう意味では完敗でした」

「来月も富士でレースがありますから、巻き返せるように、その前の富士テストで頑張って、なんとか今抱えている課題を解決したいと思います」

■ドライビングアドバイザー 塚越広大 コメント

「今回に関しては、予選も決勝もパフォーマンスを思うところまで上げられませんでした。所々、良さそうなフィーリングのクルマを仕上げられそうな感触はあったのですが、それをうまく繋ぎ合わせることができなかったという感じがします」

「前回まで、例えばピットのタイミングとか、予選でコースに出ていくタイミングとか、チームのオペレーションの部分でうまく行かなかったところがありましたが、それに関してはかなり改善できたと思います」

「しかし、肝心なクルマのセットアップに関しては、予選も決勝も良いところが見つけられませんでした。課題は決勝レースでのペースにあると思います。来週、富士のテストがあるので、天気が悪そうですが、そこでしっかり新しいSF23と向き合って、時間を有効に使ってパフォーマンスを上げて、次のレースに臨みたいと思います」

■チーフエンジニア 伊与木仁 コメント

「Q1からQ2に向けては、気温も路温も上がっていましたし、アウトラップだけでタイムアタックに入ってもいけるのではないかと福住選手から要望があったので、そのようにしましたが、結局前回のオートポリスのようにはうまく行かず、タイヤの暖まりが足りなかったようでタイムが出ませんでした」

「決勝では、レースが終わってから本人と話したら、クルマが壊れているのではないかと思うくらいグリップ感がなかったとフィードバックがありました。しかも、前半は9秒台に入っていたのにガソリンが軽くなってもタイムが上がらず、逆に10秒を切れない状態になってしまいました」

「我々には何か見えていないことがあって、セッティングを大きく見直さなければならないということなのでしょう。今回は新しいアイテムも入れてみたのですが、十分使い切れなかった面もありそうなので、まずは富士のテストでしっかりそれを確かめて次のレースに備えます」


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