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投稿日: 2024.07.25 17:33

スズキ 2024EWC第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート


MotoGP | スズキ 2024EWC第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート

2024 FIM世界耐久選手権 “コカ·コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会
2024年7月21日(日)
決勝レポート

ヨシムラ SERT Motulが3位表彰台を獲得
チームスズキCNチャレンジも8位で完走を果たす

2024 FIM世界耐久選手権 “コカ·コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第45回大会決勝日の鈴鹿サーキットはレースウィーク中もっとも暑い空気に包まれた。

8時30分から行われた45分間のウォームアップ走行でスズキ勢は、AutoRace Ube Racing Team(以下オートレース宇部)が5番手。チームスズキCNチャレンジ(以下CNチャレンジ)が6番手。ヨシムラ SERT Motul(以下ヨシムラ)が10番手。改造範囲の狭いSSTクラスに参戦するTERAMOTO@J-TRIP Racing(以下テラモト)が18番手、クラストップでウォームアップセッションを終える。

11時30分。8時間先のチェッカーフラッグに向け、46台のマシンが一斉にスタート。スタートライダーはヨシムラが渥美心、オートレース宇部が津田拓也、CNチャレンジがエティエンヌ・マッソン、テラモトは村瀬健琉が務めた。

オープニングラップはヨシムラが5番手、オートレース宇部とCNチャレンジは10番手あたりでコントロールラインを通過。ヨシムラの渥美は耐久レーサーらしい走りで5番手をキープ。同様にエティエンヌも8番手まであげて走行するが、津田は中々ペースを上げられない。また、テラモトの村瀬はクラストップを走行していたが、スタートから30分過ぎにデグナーカーブで転倒。ライダーは無事でピットに戻れたものの、マシンは大破して修復には大きな時間が掛かってしまった。

スタート後しばらくの間は転倒が多発したが、そこからレースは落ち着きを取り戻していく。スタートから1時間を待たずに続々とマシンがピットインしてくる。津田からバトンを受けたバリー・バルトゥスは好ペースでラップタイムを刻み徐々にポジションを上げ、アンソニー・ウエストにバトンを渡すときには8番手まで順位を上げていた。

スズキ 2024EWC第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート
2024鈴鹿8耐:エティエンヌ・マッソン(Team SUZUKI CN CHALLENGE)

スタートから2時間が近づくと、2回目のピットインを行なうマシンが増える。ピットインのタイミングを遅らせたヨシムラはダン・リンフットから再び渥美に交代。また、CNチャレンジも再びエティエンヌが走行をする。ヨシムラは4回目のピットイン時にアルベルト・アレナスが登場し、初めての鈴鹿8耐決勝のコースに躍り出ると安定した走行を続け、チームに貢献する。

ピットインのタイミングで順位の変動はあるものの、ヨシムラ4番手、オートレース宇部とCNチャレンジが10番手付近でレース後半に進んでいく。なお、CNチャレンジはエティエンヌと濱原颯道の2人で交代して走行を続ける。いっぽう、テラモトはマシンの修復後に再び村瀬が転倒。修復後にはホームストレートでマシンが停止してしまう。

上位陣に大きな変動がないまま、残り2時間となろうとする頃、4番手を走行していたヨシムラに、ピットスルーペナルティが課せられるが、これをダンが無事に消化。後続とはタイム差があったため、そのままの順位でレースに復帰するが、3番手とは離されてしまう。しかしチェッカーまで30分、ピットインのタイミングでヨシムラの渥美が3番手を走るDUCATI Team KAGAYAMAの背後に付き、そのまま抜き去る。渥美はコース上を走るどのライダーよりも速く走りリードを広げる。また、30分を切った同じ時刻帯に、7番手を走行していたオートレース宇部のアンソニーが転倒してしまう。なんとかピットに戻りマシンを修復してコースに戻るが、大きく順位を落としてしまう。

渥美は、その後もペースを緩めることなく最後まで走り切り、ヨシムラが3位表彰台を獲得。2人で走りきったCNチャレンジは8位と大健闘した。また、オートレース宇部も20位で無事にチェッカーを受けるが、マシンの修復時間が長くなったテラモトはチェッカーを受けるものの、規定周回数不足により残念ながら完走扱いにはならなかった。

スズキ 2024EWC第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート
2024鈴鹿8耐:濱原颯道(Team SUZUKI CN CHALLENGE)

チームスズキCNチャレンジ 佐原伸一 チームディレクターのコメント
「通常では考えられないくらい準備期間が短い中で、よく無事に決勝を迎えることができたなというのが今週レースウィークに入った時の感想です。そこから、チーム員もライダーも完璧に仕事をしてくれて、何のトラブルもなく決勝の日を迎え、決勝も目標としていた完走はもちろん、シングルフィニッシュ8位でゴールができたことは本当に達成感があります。これでプロジェクトが終わったわけではなくデータをとってサステナブルアイテムの検証をして次の目標を作るという作業が残っていますが、今日は本当にライダーが頑張ってくれ、チームみんなで100%の力を出してくれたことを讃えたいと思います。この取り組みを応援してくださったファンの皆様、パートナー企業の皆様、チームに関わるメンバーを支えてくれたそれぞれの職場のみなさんをはじめ、みんなで戦って勝ち得た結果だと思います。今後もこの活躍続けていきたいと思っていますので応援をよろしくお願いします。」

チームスズキCNチャレンジ エティエンヌ・マッソン選手のコメント
「レース中は気温が高く、コンディションはとても厳しく困難でしたが全力を尽くしました。決勝レースでは良いスタートを切ることができ、リズムよく走ることができました。非常に高い気温のためバイクを少しゆっくり走らせる必要があり、自分のペースに合わせようとしましたが、それは難しかったです。2人のライダーで走行したのでステントの間の休憩が短く、難しさもありました。しかし結果は非常によかったです。チーム全員がこの結果を喜んでいます。CNチャレンジのプロジェクトは、レースに関わる全員にとって非常に興味深いもので、この分野の未来にはまだたくさんの可能性があります。鈴鹿8耐で目標としていたトップ10に入ることができとても満足しています。EWCの次戦ボルドールでは、ヨシムラ SERT Motulチームでチャンピオンシップのタイトルをかけて最終戦を戦います。ランキングトップとわずか6ポイント差で、ボルドールでの逆転とチームのチャンピオンシップタイトルの獲得を確信していて、最終戦を非常に楽しみにしています。」

チームスズキCNチャレンジ 濱原颯道選手のコメント
「ベースとなっているバイクはロングランしやすいようなセッティングだったので、僕が今まで経験したスプリント的な予選のタイムの詰め方をしたら、ちょっとバランスが崩れたりして予選では僕の経験不足も痛感しました。決勝はやっぱりEWCで何回も優勝しているバイクがベースになっているので、その点すごく安心して走れましたね。決勝レースの最後の走行で、腰が疲れてマッソン選手に頼る形になってしまったんですけど、僕の分も走ってくれてすごく助かりました。去年は鈴鹿8耐で解説の仕事をして、もう8耐で乗れないのかなって思ったりしたので、今回スズキのファクトリーチームから参戦できて、無事チェッカーを受けた後、僕も結構泣いちゃったんですけど、選手としてこの場所に戻ってこれたことがすごく嬉しかったです。」

チームスズキCNチャレンジ 生形秀之選手のコメント
「新しいチャレンジ、新しい開発の部分において僕はGSX-Rに関していろいろ乗ってきているので、そこをベースにどうかというのは今回のテストやレースを通してチームに対して伝えることができたのかなと思います。そして新しい道や可能性だったり、もっとやっていかなければならない部分も知ることができました。チームは、普段ずっとレースだけをやっている人たちのチームではなく、そういう意味では新規のファクトリーチーム。日を追うごとに一致団結して一つの塊になってきたと感じました。そのことがチームの強さにつながったんじゃないかと、チームを作っていくうえで大事だというのを再認識しました。」

AutoRace Ube Racing Team 中井貴之監督のコメント
「これがレースですね。悔しいですが、また頑張ります。とにかくアンソニーに怪我がなくて良かったです。また来年に向けて1から出直します。応援有難うございました。」

AutoRace Ube Racing Team 津田拓也選手のコメント
「8耐はいつも体力的にも精神的にも厳しいレースですが、今年はまた違った意味で厳しいレースとなりました。バリーとアンソニーに乗りやすいマシンセットとしたら、自分には乗りにくくなってしまって、それをアジャストするのにちょっと時間がかかってしまいました。スティント毎に良くなってきたのですが、肉体的にもいつもよりハードでしたね。ただ、昨年と比べても周りは速くなっていたので、これからのマシンづくりに関してもいろいろと考えなければいけないと思っています。アンソニーの転倒は残念ですが、8耐では誰に起こってもおかしくないので仕方ないと思います。昨年もそうでしたが、今年もすごくレベルの高いライダーと組ませてもらったので、それぞれの走らせ方や考え方があって自分にとってもすごく勉強になりました。マシンも自分もレベルアップしてこれからのレースに取り組んでいきたいと思います。有難うございました。」

AutoRace Ube Racing Team バリー・バルトゥス選手のコメント
「楽しいレースだったし、自分に求められた仕事はしっかりこなせたかなと思うよ。1スティント目は慣れていないこともあってちょっと力んでしまって疲れてしまったけど、2スティント目と3スティント目は状況に慣れていけたから、よりスムーズに走れるようになったよ。転倒は残念だけど、レースだから仕方のないことだね。8耐は特別な空間で、本当に楽しませてもらったよ。チームもプロフェッショナルだったし、雰囲気も良かった。またここに戻って来たいと思うよ。もちろん次は絶対表彰台に登りたいね。」

AutoRace Ube Racing Team アンソニー・ウエスト選手のコメント
「これまで8耐も24時間耐久レースも何度も出ているけど、決勝で転倒したのは初めてなんだ。前のポジションを走っているマシンに少しずつ近づいているところだったから攻めていないわけではなかったんだけど、なぜか急にフロントが滑ってしまって、ちょっと不可解な転倒だった。あと少しでゴールだったからチームには申し訳なく思うし自分としてもちょっと心が痛いよ。バイクはウィークを通してパーフェクトだったし、本当に良いチームに巡り会えたと思うよ。出来れば来年リベンジしたいね。」

TERAMOTO@J-TRIP Racing 森賢哉監督のコメント
「あれだけ完璧だと思って準備していても、たった一つの小さな原因がすべての歯車を狂わせるんだなと、レースの怖さをすごく感じた8耐でした。ポールポジションを獲得して、レースでもスタートしてトップを走っていました。ライダーのアベレージもピット作業も、他を上回っていて勝てる要素はたくさんありました。それが一つのミスでこうも崩れてしまうんだという怖さをまざまざと見せつけられましたが、同時にすごく勉強にもなりました。村瀬選手は後悔しているかもしれませんけど、寺本も含めて誰も後悔していません。むしろうちのチームで走ってくれたことに感謝しています。寺本の引退をもってこのチームは解散することになります。有終の美を飾ることは出来ませんでしたが、サーキットとレースにはたくさんのことを教えていただきました。これまで応援してくださった皆さん、有難うございます。今年はこのマシンと一緒にあちこちのイベントを回りますので、また色々と聞いて下さい。」

TERAMOTO@J-TRIP Racing 寺本幸司選手のコメント
「2回の転倒、1回のトラブル。これがレースですね。勝ちを狙えるレースだったので当然悔しさはあります。でも、諦めることなく、それをチームで乗り越えてコースに戻ってチェッカーを受けられたのは本当に良かったと思います。なんだか今日1日で10年分のレースをしたようなタフなレースでしたね。これが引退レースになるのですが後悔はありません。最後のスティントは夕暮れ時で色々なことを考えながら走っていました。この様にバイクを走らせることはもう無いのかもしれないと思って、ダンロップコーナーで思いっきり滑らしたりしながら楽しませてもらいました。これまで多くの方に支えられて走ってきました。本当に有難うございました。」

TERAMOTO@J-TRIP Racing 村瀬健琉選手のコメント
「スタートから良いアベレージで走ることが出来ていたのですが、給水用のキャメルバッグのホースが外れてしまい、水分が取れなくなって脱水症状を起こしてしまいました。それが転倒の原因でした。テストから大事にここまで積み上げてきていただけに、チームの皆さんには本当に申し訳なく思っています。寺本さんの引退レースでもあったので、余計に申し訳ないです。自分を信じてチームに誘っていただいたことも、転倒後にまた乗せてもらえたことも、感謝の気持ちでいっぱいです。」

TERAMOTO@J-TRIP Racing 石塚健選手のコメント
「結果は悔しいですけど、こればかりは仕方無いですね。ここまで非常に順調でしたしアベレージも良かったですから期待も大きかったのですが、何があるかわからないのが耐久レースですね。ただ、自分としてはやり切った感覚もあります。今回のSSTクラスはとてもレベルが高かったと思いますし、その中でポールポジションも取れました。アベレージもとても良かったので、自分のレベルを確認出来ましたし自信にも繋がりました。これを糧にしっかり次に生かしたいと思います。応援有難うございました。」


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