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投稿日: 2024.07.26 14:57

TONE RT SYNCEDGE4413 BMW 2024EWC第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート


MotoGP | TONE RT SYNCEDGE4413 BMW 2024EWC第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート

2024 FIM 世界耐久選手権シリーズ 第3戦“コカコーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第45回大会

TONE RT SYNCEDGE 4413 BMW
Race Report

2024 年7月19日(金) 公式予選(計時予選) 天候:晴れ
2024年7月20日(土) 公式予選TOP10トライアル 天候:晴れ
2024年7月21日(日) 決勝レース 天候:晴れ
観客動員数: 7/19(金) 7,000人 7/20(土)19,000人 7/21(日)30,000人
3日間合計 56,000人
開催場所:三重県 鈴鹿サーキット(1周=5.821km)

TONE RT SYNCEDGE4413 BMW SSTクラス優勝!

世界耐久選手権シリーズ第3戦となる鈴鹿8時間耐久ロードレースは5年ぶりに7月開催となった。ライダーは星野知也選手、吉田愛乃助選手に加えBMWのファクトリー契約ライダーのハネス・ソーマー選手を迎えて2019年以来のSSTクラス優勝に挑んだ。今まで鈴鹿8耐でのSSTクラスはFIM管理下ではなかったが、今年からは公式戦としてシリーズポイントも与えられる。6月の1回目事前テスト終了後にハネス・ソーマー選手の参戦が決定したが、2回目の事前テストはIDM(ドイツスーパーバイク選手権)のレースウィークと重なっていた為参加する事ができず、鈴鹿8耐ウィーク直前のテスト(7/17)が初走行となった。6月のテストでは星野選手が主体となってマシンのセットアップや様々なテストを進め、吉田選手は自己ベストタイムを更新、良い感触を得てウィークを迎えた。

17日のテストでハネス選手は多くの周回数を走り、走る度にタイムアップ、高いポテンシャルがある事が証明されてチームにとっては心強い存在となった。又、ハネス選手とチームのコミュニケーションを円滑にする為、今シーズン当チームからST1000クラスに参戦しているゼック選手は通訳として参加している。そして7/18木曜日の公式車検を経て、公式予選を迎えた。

7月19日(金) 公式予選(計時予選) WEATHER:晴れ COURSE:ドライ
スーパーストッククラス6位(総合27位) 2‘9.375(平均タイム)

昨年は公式予選(計時予選)が2日間にわたって行われたが、今年は午前中にフリー走行、午後に1回目と2回目の予選、2日目の予選はトップ10トライアルのみのスケジュールとなった。予選順位を決定する方法は各チームの登録ライダーが公式予選で記録したベストラップタイムのうち、上位2名の平均タイムを算出して決定する。11位以降はこの予選で確定するが、上位10台の順位はトップ10トライアルで最終的に決定される。午前中のフリー走行では各ライダーが2回ずつ走り、ハネス選手は2分9秒後半までタイムを伸ばす。

午後、気温が高くなるコンデイションの中で1回目の予選が開始、星野選手が走り始めて3周目に赤旗が出て中断、12時24分再開後に2’09.574をマークしブルーライダーSSTクラス3位で終了。イエローライダー予選は約15分遅れでスタートし、吉田選手は走り始めの1周目にスプーンカーブで他車との接触により転倒してしまう。自力でピットに戻り、メカニックがマシンの状況をチェックして修復している間に赤旗が出る。吉田選手は右手を負傷してしまうが応急処置をして走行を再開、渾身の走りで2‘11.298を出しイエローライダーSSTクラス6位で予選通過タイムをクリアした。そしてレッドライダー予選は23分遅れで始まり、ハネス選手は4周目に星野選手のタイムに迫る2’09.588をマークしてレッドライダーSSTクラス2位。2回目の予選で星野選手はユーズドタイヤで走行し、6周目に出した2’10.110でブルーライダーSSTクラス4位、その後赤旗が出て予選は終了となった。続く吉田選手は決勝を走る事を前提として、ケガの回復を少しでも早くする為に2回目予選と夜間走行をキャンセルする事となった。

ハネス選手が走る2回目の予選は20分遅れの17時過ぎにスタート、昼間に比べるとタイムを出しやすいコンディションとなり3周目に2’9.184を出しピットイン、リアにニュータイヤ、フロントはユーズドタイヤに交換、8秒台を狙い走行したが届かず、2’9.175のタイムで予選を終えた。これにより星野選手とハネス選手のベストタイム平均は2’09.375となり、SSTクラス6位(総合27位)から決勝レースを戦う事が決まった。SSTクラスのポールポジションは#52 TERAMOTO@J-TRIP Racingが獲得。予選まではスペアカーを使用し、夜間走行ではメインカーを星野選手とハネス選手が走らせ、日が落ちてから暗くなった時間帯のラップタイムを確認、SSTクラストップで走行を終えた。

チームは決勝を見据えてマシンのセットアップを進めてきており、予選タイムの速さよりも決勝レースで3人のライダーが同じようなタイムで走る事が重要となる。SSTクラスは、タイヤを容易に交換できるシステムを車両に加工する事が出来ないので、市販状態のままタイヤ交換を行わなくてはならない。それをスムーズに行う為に開発されたTONE工具を使用して走行毎にメカニックはピットワーク作業(タイヤ交換・給油)の流れを繰り返し練習していた。

7月20日(土) 予選2日目 トップ10トライアル WEATHER:晴れ COURSE:ドライ

TOP10トライアル前のフリー走行では星野選手がスペアカーで2周した後、ハネス選手と吉田選手がメインカーを走らせ、決勝に向けてセッティングの確認、調整を行った。チームはこの走行でケガを抱えている吉田選手のパフォーマンスを見て決勝レース起用の有無を決める事にしていたが、問題ないと判断。しかし、複数のスティントは負担が大きい為、1スティントのみ走らせる事となった。

TONE RT SYNCEDGE4413 BMW 2024EWC第3戦鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝レポート
2024鈴鹿8耐:SSTクラス勝者のTONE RT SYNCEDGE4413 BMW

7月21日(日) 決勝レース WEATHER:晴れ COURSE:ドライ
決勝 SSTクラス優勝(総合17位) 212LAPS 11:30スタート~19:30ゴール

朝から晴れて気温が上昇、朝のフリー走行を経ていよいよ決勝レースを迎えた。

<スタート~3スティント>
スタート直前の温度は33 ℃ 、更なる気温上昇が見込まれ過酷な戦いが予想された。スタートライダーは星野選手、スタート直後の混雑を上手くかわし1周目はクラス7位(総合24位)で戻ってくる。この時点でのオーダーは#25 Team Étoile 、#13 Taira Promote Racing、#52 TERAMOTO@J-TRIP
Racing、#806 NCXX RACING with RIDERS CLUB、##777 WÓJCIK RACING TEAM 777、#64 Kawasaki plaza Racing Team、そして星野選手が僅差で追走していた。その後、3周目に#64、8周目に#806、14周目に#777、更に15周目に#52が相次いで転倒するという波乱のレース展開となった。これにより、 #25と#13を相手にトップを争う形となり、星野選手は22周目にクラス2位(総合20位)でピットイン、タイヤ交換と給油を59秒4の速さで済ませハネス選手と交代、クラス3位でコースに戻った。#25と#13のピットインのタイミングで順位が入れ替わる展開となるが、ハネス選手は安定したレースタイムを刻みクラストップでピットイン。タイヤ交換でやや時間を要したものの1分14秒8のピットタイムで星野選手に交代、クラス3位で戻り53周目には再びクラストップ(総合20位)となり快走を続けた。

<4スティント~6スティント>
72周目にタイヤ交換と給油を56秒3で終えてハネス選手に交代、2位の#25が73周目にピットインした事で#13の後ろのクラス2位でコースに復帰した。#13はタイヤ交換を毎回行わず1回おきとし、ピットストップ時間を短くする作戦をとっており、76周目ピットに入り給油のみで2番手で復帰する。これでトップに立ったハネス選手は力強い走りで#13との差を広げていった。98周目にピットイン、1分のピットタイムでこの日初の走行となる吉田選手に交代した。レースは4時間を経過し気温が一番高くなる時間帯であったが、若い吉田選手はケガを感じさせない走りを見せトップをキープ、#13との差は1分15秒となっていた。だが、前回のピットストップでサイレンサーが変色しており、このまま走り続けると大きなトラブルを招きかねないという事でサイレンサーを交換する事を決断し、メカニックは交換準備と手順を確認していた。124周目にピットイン、タイヤ交換・給油・サイレンサー交換を1分55秒7で終え星野選手に交代、マージンが有った事でクラス2位で復帰し、127周目に再びクラストップとなった。

<7スティント~9スティント(ゴール)>
148周目にルーティンワークを59秒6で済ませてハネス選手に交代しクラス2位で復帰、#13のピットインでクラストップとなった後は周回毎にマージンを広げ、その差は#25に+1分15秒、#13に+1分29秒となった。174周目にピットイン、1分のピットタイムで星野選手に交代しトップのままコースに復帰した。レースは残り1時間となり、ライトオンが提示され、星野選手の疲労もピークとなっていた為、短い周回数で196周目にピットイン。後続とのマージンをより確実なものにする為、最後は給油のみでハネス選手にマシンを委ねた。マシンを降りた星野選手は拍手で迎えられたが、ピットの中で座り込んでしまう姿が見られた。クラストップ(総合18位)でコースに戻ったハネス選手には夜間走行ではアクシデントが起きる可能性も高い為、ペースダウンを指示、207周目にはEWCクラス#76がピットインしたことにより総合17位となる。

皆が祈るような気持ちで見守る中、212周(SSTクラス史上最多周回数)でチェッカーを受け、2019年以来のSSTクラス優勝を達成した。2位には#25がラストラップで#13を抜き去りBMWのワンツーフィニッシュとなった。今年の8耐はセーフティカーが一度も入らなかった事でEWCトップは史上最多の220周を記録した。猛暑の中での走行はライダーの体にも大きな負担がかかり、チームに帯同しているトレーナーのケア無くしては乗り切る事ができなかったと言っても過言ではない。チームの要望に応えて高いパフォーマンスを見せたライダー、そしてピットワークをミスなくこなしたメカニック、タイヤ管理や給油管理スタッフ、8時間サインを出し続けたサインマン、チームヘルパーの方々、プロモーションスタッフ、そして完璧なレースマネージメント、全てが一丸となって戦った結果がSSTクラス優勝という形となった。

最後になりましたが、チームをサポートしてくれていますスポンサー各社様、応援ありがとうございました。心から御礼を申し上げます。

●星野知也選手のコメント
「今年はBMWファクトリーライダーのハネス・ソーマー選手を乗せる事になりましたが、事前テストには来れなかった為、ウィークテストではハネス中心に乗ってもらいました。私は予選までほとんど乗る機会がなかったですが、タイムの上がりが良い事は確認出来ていたので、決勝も自信はありました」

「当初は3人で均等に交代する予定でしたが、予選で愛乃助が転倒し負傷してしまい私とハネスが4スティント乗る事になりました。猛暑の中で行われた決勝は、序盤からライバルチームが転倒し脱落していきます。そんな中チームが用意してくれたマシンは終始挙動が安定していて、転倒しそうにもならず安定したラップタイムで走る事が出来ました。3台でのトップ争いはずっと続きましたが、安定したラップタイムと早いピット作業で差を徐々に開く事に成功し優勝する事出来ました。応援、ご協力頂きましたスポンサー様に感謝致します。この流れのまま、全日本後半戦も頑張りますので引き続き宜しくお願い致します」

●吉田愛乃助選手コメント
「いつも応援していただき、ありがとうございます。今回、初めての8耐出場で優勝することができ、すごく嬉しいです。しかし、自分の経験の浅さもあり予選で転倒してしまい、チームの空気を乱してしまいました。何とか1回目の予選で通過する事ができましたが、転倒の影響で2回目の予選はキャンセルになりました」

「決勝の走行は1回だけでしたが、初めての8耐で緊張している中、高村さんのアドバイスのおかげでミスなく、アベレージも良い状態で星野さんにライダー交代する事ができました。今回は星野さんとハネスのお陰で優勝できたと思います。来年は転倒なく万全な状態で決勝を走れるよう精進します。最後になりますが、チームをはじめスポンサーの皆様方にはいつもご迷惑ばかりお掛けしておりますが、このように優勝を共有できた事を大変嬉しく思います。今後とも応援よろしくお願いいたします」

●ハネス・ソーマー選手コメント
「チームとして1週間を全うできた事をとても嬉しく誇りに思います。全員が自分の役割を果たし、お互いを信頼し合い、私にとっては信じられないような経験でした。レースでは、大きなミスをする事なく、火曜日から最後まで一貫して速かったです。1週間の経験を共有してくれた星野さん、レース中盤の非常に重要なスティントを歯を食いしばってこなしてくれた愛乃助にとても感謝しています。暑さを管理するチームの経験は重要で、そうでなければ最初のスティントを乗り切れなかったでしょう。この仕事を私に任せてくれた高村さんと山下さんに心から感謝します。またすぐにお会いできることを願っています!」

●通訳 ゼック(全日本ST1000クラスライダー)コメント
「TONE RT SYNCEDGE4413 BMW、鈴鹿8時間耐久レース、感動の優勝おめでとうございます!BMWファクトリーライダーのハネス・ソーマーは、レースウィークの初めから非常に早くスピードを上げチームに有益なフィードバックを与える事ができました。ホッシーさんと愛乃助さんは、テストで達成した成果を継続して力強いペースを維持することができたと思います。通訳として参加した私はライダー達に、この歴史的なイベントで落ち着いて勝利を収める為に必要なサポートと自信を与えることができたと思っています」

●チーフメカニック 高村嘉寿コメント
「私が一番結果を求めるレースが鈴鹿8耐です。テストから、勝ちパターンに乗せる事だけを考えてセットアップを進めていきました。テストで出た問題点を克服し、レースウィークにはマシンを良い状態で持ち込むことができました。レースは段取り9割だと思っています。レースウィークからハネスが合流し、最初鈴鹿の特殊なセットアップに戸惑う場面もありましたが、すぐにライダーが順応しました。さすがです。決勝日は一番暑くなる事が予想できたので、市販タイヤのSSTクラスはサバイバルレースになる事が予測できました。チームの戦略としては、前半4スティントまでは、守る方向で行きましたが、レース序盤にライバルの転倒などあり、どのチームとレースをすれば良いか明確になりました。#13#25共に対して、ほんの少しだけウチのアベレージが良い傾向でした。しかし、なかなかセーフティーリードを作るまでには至らない状況でしたが、レースが進むうちにピットストップタイムで差が付くと確信しました」

「実際、お互いがタイヤ交換をするたびにアドバンテージが広がってきました。メカニックも工夫に工夫を重ね、練習ではフロントタイヤ交換を14秒で終えられるようになりました。ピットストップタイムはタイヤ交換時で59秒。#25は67秒位、#13は2スティントに1回の交換で75秒くらいでしょうか?じわじわと差が広がり、結果的に1分以上までリードを広げてペースを下げても大丈夫というところまで行き無事にチェッカーを受け、勝つことができました。勝った時は、勝つための準備ができていたので、「当然だ」という気持ちも有りましたが、2019年以降結果が出ていなかったので、今回の勝利は本当に嬉しいです」

「メカニックの作業がアドバンテージになった事も本当に嬉しいです。ライダー、スタッフ、応援してくれている皆様、全員で勝ち取った勝利だと思います。ありがとうございました」

●チーム監督 山下祐コメント
「当チームを応援してくださるスポンサー、サポーターの皆様、いつもありがとうございます!2024年の鈴鹿8耐において、SSTクラス優勝を遂げることが出来ました!!2019年の勝利以降、毎年歯車がかみ合わず、結果を残すことが出来ませんでした。今年についてもチームの体制、ライダー共になかなか決まらず不安な日々を過ごしていました。しかし、マシンについては高村くんを核とし星野のコメントを元にアベレージ重視の組み立てをしっかりと創り上げ、それが事前テストで吉田の好走となって「行ける!」と手応えを得ることが出来ました。第3ライダーについてもBMWファクトリーライダーのハネスを借り受けることができ、ウィーク初日の走行で彼の走りを見た時に、これなら決勝に間に合うと確信を持てました」

「スタッフについてもタイヤ交換手順を改善し、着実にタイムを縮めることができ、タイヤ管理、燃料管理、ライダーケア等、旧知の仲のチームRIDE INの皆様やOffice Seaの皆様が完ぺきな仕事をしてくださいました。決勝においてはSSTクラスにとって過酷なコンディションだった為、序盤に6台も転倒し、まさにサバイバルレースとなりましたが、十分予見できたことであったので、前半はとにかく抑えていく作戦が的中しました」

「その間、各ライダーのレースペース、ピット作業時間をライバルと比較し、コース上で差を広げ、ピット作業でその差をさらに広げる展開に持ち込む事ができました。更にレース折り返しで吉田のスティントで差を広げることができ、ここも今回のレースの大きなポイントであったと思います。そして最終的に212周で2位と1周差をつけての勝利となりました!チーム全員で力をあわせて勝ち取った結果です。今後もさらにチームを進化させ、より良いレースが出来るよう努力を重ねてまいりますので、引き続き応援のほどよろしくお願いします!!」


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