Eri Ito

 こうしてドゥカティ歓喜のエミリア・ロマーニャGPの週末となったわけだが、決勝レース後の会見で喜びとは裏腹の表情を浮かべていたのが、マルティンである。

 決勝レースの最終ラップ、トップを走っていたマルティンは、4コーナーでバスティアニーニにインサイドに入られ、さらに止まり切れずにはらんだバスティアニーニと軽く接触してコースアウト。結果的にバスティアニーニがトップを奪い、マルティンが後退したのだ。

 映像を確認してみても、バスティアニーニは4コーナーで外側のゼブラゾーンまではらんでいる。立ち上がりで後方を振り返っていることから、バスティアニーニも若干の無茶があったという自覚があったのかもしれない。マルティンはこれに対して左手を上げ、抗議するそぶりを見せていた。

 ただ、このアクシデントについては日曜日の「FIM MotoGPスチュワード・パネル・アクティビティ・レポート」に、マルティン、バスティアニーニどちらに関するレポートも載っていない。つまり、調査の対象にはならず、レース後の両者の聞き取りもなかったということだ。

 というわけで、ライダーのコメントを確認していくことにする。

 バスティアニーニは「最終ラップ、4コーナーで仕掛けるしかないと思った」と言う。

「僕としては、たぶん、あれが唯一のチャンスだと思った。セクター3、10コーナーの立ち上がりは彼がすごく強かったんだ。なぜかわからないけど、長いストレートの最後でいつも0.2、0.3秒差がついていた。だからあそこだけが優勝できるチャンスだった」

 そしてマルティンは、冷静な対応を見せつつも、当然、不満をにじませた。

「あれはやりすぎだったと思うよ。彼(バスティアニーニ)はコースの外に出ていたし……」

「3、4周前から、僕の後ろに迫っているのはわかっていたよ。でも僕には自信があった。3コーナーではすごく立ち上がりがよかったんだ。だから、僕はラインをきっちりと閉じたよ。彼にパスされないようにね。誰も飛び込めないはずだった。でも、もちろん彼はインサイドに入ってきた。僕はバイクを起こし、そして接触もした」

「このまま話していても何も変わらない。でも、彼がラインにとどまっていたら、少なくともコースにとどまっていたら問題なかったんだ。僕がワイドになっただけだ。でも、彼は外側にはらんだ」

 マルティンは「決定を尊重する」としながらも、レースディレクションの決定に一貫性がない、とも言及している。

「僕たちは時々レースディレクションと話をする。でも、いつもはっきりしないし、一貫していない」

 このアクシデントに関して意見を求められたマルケスは、バスティアニーニがペナルティを科されるべきだったと述べている。

「リプレイを見ると、エネアはコースのインサイドにバイクをとどめておくことができていなかった。だから、僕の意見としては“ポジションダウン”。でも、レースディレクションが決定したからね」

■バニャイア「何もかもがおかしかった」

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