Eri Ito / AUTOSPORTweb

「ヨーロッパにはいろいろなバイクのイベントがあって、イギリスのグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(新旧のバイク・クルマが集まるフェス)やベルギーのバイカーズクラシック(クラシックバイクに特化したイベント)があります」

「ファッションも、アパレルやシートまで選べるものが豊富なんですよ。そんななかでデザインを考えると幅がすごく広がるし、バイクを買ってどんな服で乗るのかということに悩まない。そういうのを普通に見ていたり、情報を知っているのが彼らの強みですよね。ほんっとにかっこいいですよ。普通の洋服屋さんにもバイクが置いてあるんですから」

ヤマハにとって第3者となるデザイナー視点の話は新鮮で興味深いものばかり
ヤマハにとって第3者となるデザイナー視点だからこその切り口の話も飛び出した

 実はXSR700はシートレールが外れ、短いシートに変更することができる。これを発想したのが、マセラティのエンジニア。ヨーロッパで開発を行ったからこそ誕生したパーツのひとつだと言えるだろう。

■ネオクラシックの次にやってくるオートバイのスタイルは

 当然ながら“格好いい”という感覚には地域によって差があり、XSR700はヨーロッパモデルでありながら日本でも受け入れられるスタイルを意識している。

「ヨーロッパだと、このモデル(XSR700)ではタイヤなどが太くないと現代風に見えません。マフラーもコンパクトの方がモダン。そういう視点で造るから、ヨーロッパっぽくはなります」

「日本ではこんなに太いタイヤではなくシートもきれいに、マフラーももっと長い方が格好いい、とう感覚です。そういう地域差はありますよ。ショートテールとショートマフラーは日本では好き嫌いが激しいので……。XSR700はヨーロッパモデルなので今のような形になっていますが、ある程度は日本もなじむようなデザインにしています」

 では、今後やってくるスタイルというのはどのようなものなのか。デザイナー視点で清水さんはこう予想した。

「今はネオクラシックですが、YZF-R6みたいなきれいなモデルに、スタイリッシュなウエアで乗るというカルチャーは確実にあります。ヨーロッパのイベントでは、バイクは(BMWの)GSのフルアドベンチャーモデルで、アパレルはオーセンティックというのがある。それをトータルパッケージしているんですね。そうすると、違和感がまったくないんです。それが次のジェネレーションなのかという気はしますね」

 また、日本のライダーが今と同じようにバイクを楽しむため、自らを含めたつくり手がより気軽にバイクを楽しめるようなものづくりをしていきたい、と清水さんは言う。

「デザインのヤマハ」はヨーロッパに開発拠点があるからこそ
「デザインのヤマハ」はヨーロッパに開発拠点があるからこそ

「今の日本ではバイクに関するものがマニアックになってしまっていますが、ヨーロッパでは全然そんなことはなくて普通の格好でバイクに乗れます。それがまさにXSR700なんです。みなさんにバイクに乗ることを楽しんでもらうために、僕らがいろいろなアイテムを提供しないといけないですね」

 すでに次のバイクのデザインを手掛けているという清水さん。清水さんの口調からはデザイナーという視点はもちろん、ひとりのバイク乗り、バイク好きとしての思いをひしひしと感じることができた。

■GKダイナミックス
13社ものからなる老舗デザイングループ会社のひとつ。ヤマハのバイク製品第1号であるYA-1から、実に66年間にわたり約98%のヤマハバイクのデザインを担っている。

■清水芳朗(しみず・よしろう)
1968年生まれ。千葉大学在学中に購入したバイクにのめり込み、GKダイナミックスに入社。入社後はヨーロッパの中型、大型バイクを手掛け、スポーツヘリテージモデルのデザインには基本的に参加している。2008年~2014年にGKダイナミックスオランダオフィスに出向し、その間XSR700のデザインに携わった。現在は日本のGKダイナミックスに所属し、動態デザイン部統括部長としてバイクデザインに関わる。

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