MotoGPカタールGPプレビュー:2018年も接戦か。中上の挑戦がいよいよスタート
MotoGPクラスは2017年シーズン終了直後のバレンシア、1月のセパン(マレーシア)、2月のブリーラム(タイ)、3月のロサイル(カタール)と開幕前までに4回のオフィシャルテストが行なわれてきた。バレンシアではマルク・マルケス(ホンダ)、セパンではホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)、ブリーラムではダニ・ペドロサ(ホンダ)、そして、開幕戦の舞台となるロサイルではヨハン・ザルコ(ヤマハ)が、それぞれ総合トップに立った。
各テスト共、上位のタイムは接近しており、総合結果のベストラップのトップから10番手までのタイム差で見てみると、バレンシアがコンマ817秒、セパンがコンマ681秒、ブリーラムがコンマ675秒、ロサイルがコンマ663秒差と、今シーズンも接戦が予想される展開となった。トップ5はさらに接戦となっている。
マシン面でも、マルケスの手で過去5年で4回タイトルを獲得しているホンダは、複数仕様のエンジン、エアロデバイス付きフェアリング、リヤカーボンスイングアームを始めとするシャシーなど、数多くのパーツをテストし、順調にテストメニューをこなしていた。昨年までの課題となっていたエンジンパフォーマンスの改善も進んでいるようだ。
ホンダを追うドゥカティも複数のシャシー、エアロフェアリングなどをテスト。エンジンパフォーマンスに関しては昨年同様に速さを見せており、テストを終えて、アンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)は今季に向けて自信をのぞかせていた。また、ホルヘ・ロレンソ(ドゥカティ)はセパンでは総合トップタイムを記録したものの、続くブリーラムでは前年型マシンを引っ張り出すなど、まだまだ本来のパフォーマンスを引き出せてない様子。
昨年はシャシー面で苦戦を強いられたヤマハも巻き返しを図ってきた。シャシー、エンジン、電子制御、エアロフェアリングの改良に取り組み、ロサイルテストでは、サテライトのヨハン・ザルコ(ヤマハ)が総合トップでテストを終え、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が総合2番手につけた。昨年のカタールGPのウイナー、マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)はテストを通じてなかなか100%の状態で走れていない様子。
昨年のシーズン中盤すぎまで苦戦したスズキは、終盤に巻き返しを図ると、オフのテストも順調にこなしてきた。2017年はエンジン仕様の変更が結果に結びつかなかったようだが、2018年はより手堅い改良を施し、共にスズキで2年目となるアンドレア・イアンノーネ(スズキ)、アレックス・リンス(スズキ)のマシンへの習熟が進んだこともあり、再びトップ争いに加わりそうだ。
アプリリアとKTMは着実にマシン開発を進めているが、まだまだトップとは差がある様子。コンセッションによりシーズン中のエンジン開発が可能なため、そこをどう生かしていくかがカギとなるだろう。
タイヤに関してはオフィシャルサプライヤーがミシュランとなって3シーズン目を迎え、安定してきた模様。テストでは新スペックのフロントタイヤも投入され、ライダーの評価もよかったようだ。
Moto2クラスからステップアップしたライダーは5名。中上貴晶(ホンダ)はセパン、ブリーラムでルーキートップに立ち、ブリーラムでは総合トップ10入りを果たした。昨年のMoto2チャンピオン、フランコ・モルビデリ(ホンダ)は最後のカタールテストでルーキートップに浮上。トーマス・ルティ(ホンダ)は昨年のマレーシアGPで負ったケガの影響で、MotoGP初ライドがセパンテストからとなったことからやや苦戦気味。年明けに病気による今シーズンの欠場を決めたジョナス・フォルガー(ヤマハ)の代役として、ブリーラムテストでMotoGP初ライド、その後、レギュラー参戦が決まったハフィス・シャーリン(ヤマハ)は、予想以上に素早くMotoGPマシンへの順応を見せた。
2013年から2017年までの過去5年間の開幕戦カタールGPの結果を見てみると、2013年と2016年にロレンソが、2015年にロッシ、2017年にビニャーレスと5年間で4回ヤマハ勢が優勝している。ヤマハ勢がホンダは2014年のマルケスの1勝のみ。ドゥカティは優勝はないものの、2015年から3年連続でドビジオーゾが2位に入賞している。
いずれにしても、今シーズンもMotoGPクラスは接戦の展開になることは間違いないだろう。開幕戦カタールは今シーズンを占う意味でも重要な一戦となる。