「エンジンブレーキの感触は良いものになったと思う」とビニャーレスは語った。
「コーナーエントリーでは深く集中していった。なぜならそこがグリップとタイムを失ってしまう場所だからだ。だから重要なんだけど、コーナーに進入する際に心強くいられた。でもトップパワーについては、もっとスムーズにするためにやるべきことがたくさんある。いまだにアグレッシブだし、多くのトラクションを失ったからね」
ロッシも同様のフィードバックをしている。「エンジンはコーナーエントリーを大きく変えた。バイクに乗りやすくなったし、より一貫性が保てるようになった」とロッシは語った。
「加速の点では大体同じだね。ヤマハは僕たちに柔軟な性質のエンジンを与えようとしている。スピンが減るようにね。でもいまだにリヤタイヤのデグラデーションには大分悩まされている。今月の2回のテストは、ヤマハの作業の方向性について良い判断材料をもたらしてくれるだろうし、僕たちには2月に向けて変化を加える時間がある」
おそらくビニャーレスは新エンジンから最高の感触を得ている。なぜならビニャーレスは2018年終盤の数レースでマシンバランスを根本的に変えたからだ。荷重を後方に移し、ブレーキング時とコーナーエントリーの際のリヤのグリップを改善させたのだ。
■ヤマハと同じ課題に取り組むアプリリアのアプローチ
リヤタイヤをフロントタイヤの補助に使い、リヤエンドのストップ時のパフォーマンスに大きく重点を置いているのは、ヤマハだけではない。アプリリアは2018年を通してほぼ壊滅的だったが、2018年シーズンのラスト3戦でラボバイクと呼ばれる、2017年、2018年、2019年のパーツを合わせたバイクを導入し、状況を好転させた。

バレンシアテストの間、アレイシ・エスパルガロと新チームメイトのアンドレア・イアンノーネのふたりは、新しいエンジンとシャシーを試した。
「新しいエンジンを使う最も大きな理由は、より強力なエンジンブレーキを得ることにある」とエスパルガロは説明した。
「2018年シーズンはすべてのコースでエンジンブレーキの電子制御の性能を高めようとしたが、リヤタイヤがロックしてしまった。リヤタイヤをロックさせずにエンジンブレーキを向上させることは、2019年に向けて鍵となることのひとつだ。これはエンジン、電子制御、シャシーのジオメトリーなど様々なことの組み合わせなんだ。なぜならエンジンと電子制御から優れたエンジンブレーキを得ることができたとしても、タイヤがコースをプッシュしていなければ、すぐにロックしてしまうからね。どのようにリヤタイヤをストップさせ、荷重をかけるかがすべてなんだ」
エスパルガロは、2019年には新しいエレクトロニクスエンジニアや新クルーチーフであるアントニオ・ジメネスらを含む、まったく異なるクルーを持つことになる。ジメネスは2014年にアルバロ・バウティスタと最後にMotoGPで組んでからは、Moto2クラスで仕事をしていた。