更新日: 2019.06.30 01:34
ポケバイレースで筑波がグランプリコース並みの広さに変わる/全日本ロード第4戦トピックス
2019年がラストイヤーのJ-GP2。レース1はウエットコンディションをものにした榎戸育寛(SDG Mistresa RT HARC-PRO)が、ドライコンディションとなったレース2はMoto2スポット参戦から全日本に戻った名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO.)が優勝した。
レース1を制した榎戸は、レース前に行われた予選で転倒を喫し、マシンが大きく損傷してしまったが、チームの懸命な修復によりレース1でグリッドに並ぶことができた。
「午前中の予選でこけてしまって、車体の損傷がひどかったけれど、チームの力で決勝レース1で優勝することができました」と榎戸はレース1を振り返る。
「今回、ブリヂストンタイヤを装着しての初走行で、雨の影響も合わさって、不安要素がとても多かったです。でも、自分のペースを守り続けて、20周を回り切れました。リスクはありましたが、スタート序盤から飛ばしました。チームに感謝の気持ちしかないです」
会見では、雨は得意かという質問に対して「雨は“好き”な方です。漫画の頭文字D(イニシャルD)に『“得意”と言うヤツは速くない。“好き”というヤツの方が速い』というセリフがあります。なので、僕は雨が“好き”な方です(笑)」と答え、笑いをとる場面もあった。
ドライとなったレース2はポールスタートの名越が後続を引き離してポール・トゥ・ウイン。レース中は雨がぱらつくなどスリックタイヤを履くJ-GP2にとっては難しいコンディションのなかでの勝利となった。
「金曜日からドライには自信がありました」と名越。レース2を次のように振り返る。
「レインになったレース1は反省点も多く、そこで見つけたものもありました。雨がいつ降ってくるのかわからないので早めにプッシュして後続を引き離していつ赤旗が出てもいいように持っていきたかったのですが、なかなかペースを上げられず苦しい展開でした」
「自分自身を落ち着かせて、この雨だったら大丈夫、と確信してからはペースを戻して優勝することができました。冷静にレース運びができたことがよかったと思います。今はうれしい気持ちとホッとした気持ちが入り交じっています」
「Moto2のスポット参戦で学んだ事はたくさんありますがまだ自分の中で消化できていない部分が多々あります。レース1もそれを現していると思います。もっと多くのことを吸収して後半戦で成果を出せるように努力したいと思います」
レース1を制した榎戸はレース2では2位表彰台を獲得。しかし、表情に笑顔はなく。レース1との落差が印象的だった。
■ST600はレース2で岡本と小山のマッチレース
土曜日のST600レース1スタート前になると雨はほぼ止んだ状態となる。各ライダーはレインタイヤでグリッドに着いていた。このレース1ではウエット寄りのセッティングを選択した者、ドライセッティングのままで走った者で明暗が分かれる結果となった。
レース1でトップ争いを繰り広げたのは長尾健吾(NCXXRACING&善光会 TEAMけんけん)と岡本裕生(51ガレージニトロレーシング)だった。岡本はウエット寄りのセットを選択したようで、オープニングラップをトップで戻り、そこから後続を引き離そうとした。しかし、雨が止んだため路面はどんどん乾いていき、トップを走る岡本にとっては厳しい状況に。
岡本の後方を走っていた長尾は、乾いてきた路面に対応し、11周目の1コーナーで岡本を捕えてトップに浮上。そのまま岡本を引き離して、そのままチェッカー。2年連続で筑波ラウンドを制した。岡本は長尾にかわされた後はペースが上がらず、最終的に4位で終えた。
「路面が乾いてきそうだと思っていて、スタート後もその傾向でした」と長尾。
「岡本選手の背後につけているとホイールスピンさせて厳しそうでしたが、僕もそれほど余裕があるわけではありませんでした。ただ、ブレーキングのアドバンテージが僕にはありました」
「トップに立ってからは乾いている路面の上を走らせていたら、気付いたら20周経っていたという感じでした」
日曜日に行われたレース2はドライコンディションでの戦いに。レース2でポールポジションスタートの岡本がホールショットを奪って2番手以下を引き離そうとするところを小山知良(日本郵便 HondaDream TP)が追う展開となる。
岡本を追う小山は9周目にファステストラップをマークするなどでジリジリと差を詰めて行く。ファイナルラップに入ると小山は岡本との差を1秒切るところまで縮まるが、勝負を仕掛けるところまでは行けず。岡本が小山を抑えトップでフィニッシュし、シーズン2勝目を挙げた。
優勝した岡本はレース後の会見で「事前テストから一発タイムが出せていなかったのでレースウイークに入ってもロングランをしていませんでした。なので、日曜日のウォームアップ走行で新品タイヤを履かせてもらい、レースを見据えて周回を重ねました。レースでもうまくトップに立つことができ、コースのコンディションも自分自身の調子も悪くなかったので優勝することができました。次戦も先行逃げ切りのパターンに持ち込めれば、いいですし、バトルになっても勝てるようにしたいです」と喜びと課題を語った。