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投稿日: 2019.10.15 18:07
更新日: 2019.10.16 13:16

楕円ピストン2万回転の独創的エンジン。ホンダが2輪世界グランプリに再挑戦した4ストロークマシン『NR500』


MotoGP | 楕円ピストン2万回転の独創的エンジン。ホンダが2輪世界グランプリに再挑戦した4ストロークマシン『NR500』

 NR1が長円ピストンエンジンを2万回転まで回して疾走してからすでに40年が過ぎた。しかし、これだけの年数が経っても、NR1は見る者の目を釘付けにさせる魅力を持ち続けている。誕生から40年経っているのに、依然としてそれは革新的に見えるのだ。

 日本のオートバイ産業はヨーロッパやアメリカで生み出された技術を模倣することから始まった。そうした技術を独自の知恵と工夫で磨き上げる努力を通して、日本車ならではの価値が創出されてきた。

 NR500はそうした歴史の上に立っているものだが、とりわけNR1は技術のオリジナリティにおいて突出している。長円ピストン然り、エビ殻然り。それらは、点火タイミングが倍あり部品点数が圧倒的に少なく軽量な2ストロークと同じ土俵で戦うために、ホンダの日本人技術者たちが考えに考え抜いたすえに作り出したものだ。

8バルブ長円ピストンの4ストロークV4エンジン。ピストンは楕円ではなく長円と表現するのがふさわしい
8バルブ長円ピストンの4ストロークV4エンジン。ピストンは楕円ではなく長円と表現するのがふさわしい
エビ殻(ガラ)と呼ばれるモノコックフレーム。1mmのアルミ板から成型したもので単体重量は5.5kg
エビ殻(ガラ)と呼ばれるモノコックフレーム。1mmのアルミ板から成型したもので単体重量は5.5kg

「新しい技術で勝ち上がろう」。そうした思いから『New Racing』と名付けられたプロジェクトは、やがてHRC(株式会社ホンダ・レーシング)へと発展していく。そんなプロジェクトの処女作であり、いわばHRCの原点にある車両がNR1である。それはまさに、ホンダ独自、日本独自の技術の集合体であった。そして図らずも、エビ殻のモノコックフレームや同軸ピボットを持つ後継車は作られることなくきた。

 真にオリジナルで唯一無比の存在がNR1であり、その価値は誕生から何年経とうが失われることはない。

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 2輪ロードレースの最高峰に挑戦した4ストロークエンジンのNR500は、結果的に世界GPで勝利を挙げることはできず、2ストのNS500にその道を譲ることになる。しかし、 それでもNR500は、他社とは違う独創的なアプローチで勝利を目指した、いかにもホンダらしい価値あるマシンであることは間違いない。

 そんなNR500のプロジェクトの立ち上がりから当時は明かされなかった開発秘話、ここでは紹介しきれなかったマシンの詳細な写真、そしてライダーとしてマシンを託された片山敬済のインタービューまで、NRにまつわるストーリーを『ホンダNR500 パート1レースデビュー編』としたレーサーズVol.54は、9月24日より好評発売中。

レーサーズVol.54『ホンダNR500 パート1レースデビュー編』
レーサーズVol.54『ホンダNR500 パート1レースデビュー編』


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