更新日: 2019.11.06 21:19
王者かかる1戦でも攻めの姿勢を崩さなかったホンダ高橋巧。レース1で野左根のインに入った理由
レース1を終え、優勝した中須賀は239ポイント、高橋は230ポイントとなり、ランキングで逆転されてしまう。その差は9ポイント。高橋がチャンピオンを獲得するには中須賀が高橋より5つ下の順位で終えることが条件という厳しい状況だった。
迎えたレース2、高橋は序盤から後続を引き離して独走態勢を築くと、2位に14秒986の大差をつけてポール・トゥ・ウインを果たすが、中須賀が2位に入ったことで、チャンピオンは中須賀に決まり、高橋はランキング2位で終えた。
「レース2で負けたら本当に負けだと思ったので、最後は絶対優勝して終わりたかった。レース1の悔しさがすごくあったので、サイティングラップでしっかりタイヤを温めて、1周目からいけるように準備しました。優勝できたのはよかったです。チャンピオンはあきらめていなかったですが、本当に何かない限りは可能性はなかったので、最後に速さを見せたかった。レース2ではそれを見せられたと思います」
レース1から攻めていき、接触と転倒の結果チャンピオンを逃してしまった高橋。逆にレース1ではスタートで先行せず、一歩引いて様子を見る選択はなかったのか。これについて高橋はこう答えた。
「(野左根のインが)空いていたから、そこに入った感じです。引くことも考えましたが、野左根選手がオーバースピードでアウトにはらんでいったので、インから抜けるんじゃないかと思い、インに入りました。そうしたらインから中須賀選手が来ていて、それに気づいてバイクを起こしたときにはどうしようもなかったです」
「結果的に順位を落としてしまいましたが、あそこでおとなしくしていたら、また状況は違ったかもしれません」
■後半戦前に「怪我をさせてしまったことが悔しい」と宇川監督
Team HRCを率いる宇川徹監督は、チャンピオンを逃した2019年シーズンを次のように総括した。
「最終戦では巧がレース2のような走りをレース1でできると思っていました。鈴鹿は絶対的な自信があったし、巧を信頼していました」
「後半戦もてぎ(第5戦)前のテストのときマシントラブルで転倒させて怪我をさせてしまったことが悔しい。その怪我がなかったら、中須賀選手にポイント差を縮められなかったと思います。そこは巧に申し訳ないです。マシントラブルはチームの責任なので。転倒だけならまだしも、怪我をさせてしまったのが余計でした」
2019年シーズンのチャンピオンを逃した高橋だが、2020年はスーパーバイク世界選手権(SBK)への参戦が噂されている。11月5日にはイタリア・ミラノで開催されるミラノ国際モーターサイクルショー(EICMA)がスタートし、ホンダはそこでは2輪モータースポーツ世界選手権参戦体制発表を行う予定だ。高橋がSBKに参戦するかしないかはミラノショーでの発表でわかるはずだ。
宇川監督に高橋のSBK参戦について聞くと「5日に何らかの発表があると思いますよ」とコメント。2019年シーズンの全日本は悔しい結果に終わった高橋だが、2020年はこの悔しさを糧に世界の舞台で活躍する姿を期待したい。