更新日: 2019.11.15 14:55
MotoGP:バレンシアGPで急転直下の引退会見。ロレンソ、2度の転倒後「モチベーションが見つからなかった」
「(※しばらく言葉を切るロレンソ。会場ではここで拍手が起きる)モチベーションをキープすることができない。僕が定めていた目標は、現実的ではなかった。ホンダにはとても申し訳ないと思っている。特に、アルベルト(・プーチ)。彼は僕を信頼してくれて、機会をくれた。残念ながら、彼とホンダ、タケオ(横山健男氏/HRCテクニカルマネージャー)、クワタ(桒田哲宏氏/HRC取締役 レース運営室室長)、ノムラサン(野村欣滋氏/HRC代表取締役社長)をがっかりさせてしまった。けれど、これはベストな決断だったと思う。僕にとってもチームにとっても」
「振り返れば、僕のキャリアはとてもすばらしく成功したものだった。僕はいつも自分のことをラッキーだったと言っている。時々、映画の『One in a Billion』のように感じるんだ。NBAにやって来た、唯一のインド人についてのドキュメンタリー映画だよ。キャリアのなかでは、多くの同世代のライダーたちと戦い、そのうちの何人かは僕よりも才能があった。でも何人かは僕ほど成功はできなかったり、ほとんどがロードレース世界選手権に参戦できなかった。僕はレースを始めたときに考えていた以上の結果を達成できて、幸運だったと感じるということなんだ。もちろん僕は一生懸命に取り組んだけれど、多くの人の助けがなかったらここまでの結果は手にできなかった」
「だからこそ、いろいろな人に感謝したい。特にカルメロ(・エスペレータ/ドルナスポーツCEO)、ドルナ。それから(所属してきた)僕を信じてくれたファクトリーチーム。デルビ、アプリリア、ヤマハ、ドゥカティ、ホンダ。そしてジャンピエロ・サッチ、ジジ・ダリーニャ、リン・ジャービス、アルベルト・プーチ。もちろん、僕をここに連れてきてくれた母と、このスポーツへの情熱を与えてくれた父。僕のためにすべてを犠牲にしてくれたすべての人。僕のファンと、ファンクラブの無条件の愛にも。一緒に働いてきた、すべての人々、そして(マネージャーの)アルベルト・バレラに感謝します。本当にどうもありがとう」
※以下、質疑応答にて。
「(やめる決断を最終的に下したのは)アッセンのクラッシュ後、可能性があった。けれど、僕はすぐに決断をしたくはなかった。モチベーションが再び得られるかを確認したかったんだ。バイクにはいい感じを得られたけれど、モチベーションが見つからなかった。マレーシアGP後、この決断をアルベルトに伝えたんだ」
「(MotoGPキャリアのなかでお気に入りのレースは)幸運にもすばらしい思い出がだくさんあるから難しいけれど、もしひとつだけというのなら、(MotoGPクラスで最初のチャンピオンを獲得した)2010年のマレーシアGPだね。トップ5というのなら、グランプリで初勝利を挙げた2003年のリオGP。それから2006年、グランプリで(250ccクラスで)初めてチャンピオンを獲得した2006年のバレンシアGP、2013年のオランダGP(金曜日のフリー走行で転倒して鎖骨を骨折しながらも、手術を受けてレースに出走)。信じられないことをしたよね。そして2015年のここ、バレンシアGP。最後のMotoGPタイトルを獲得したレースだ」
「(今後については)人生はバイクだけじゃない。いろんなことがある。今後については今はあまり考えない。この冬はビーチでゆっくり休んで、人生の次の段階へ進もうと思う」
ロレンソにとって、2019年シーズンの最終戦、MotoGPバレンシアGPが最後のレースとなる。