更新日: 2019.11.29 21:56
2020年に向けて始動したMotoGP。テストで見えた6メーカーの狙い【ホンダ・ドゥカティ・アプリリア編】
Translation:AKARAG
ホンダは多くの異なるシャシーをマルク・マルケス、カル・クラッチロー、テストライダーのステファン・ブラドルに代わる代わる使わせていた。HRC(ホンダ・レーシング)はホンダRC213Vを、特にコーナーで扱いやすいバイクにすることに専念している。シャシーの挙動とネガティブなトルク挙動の両方を通してだ。
実際のところ、第15戦タイGPでマルク・マルケスがタイトルを獲得して以来、HRCは準2020年テストモードだった。最終戦バレンシアGPでのレースウイークでマルク・マルケスは、新しいフレームを異なるステアリングヘッドとともに、リヤエンジンハンガーなしの状態でテストした。
クラッチローは同じフレームと、すべて異なるステアリングヘッドを含む2020年型のさまざまなパーツを、リヤハンガーとともにテストした。HRCはコーナリングのしやすさと、乗り心地の良さ、そしてコーナー進入時のリヤタイヤの接地改善を期待している。
「2019年のバイクと比べて、ブレーキングゾーンでより強力になることを期待している」と新たな空力も評価したクラッチローは語った。「新たなバイクで一歩前進できた。フロントには期待を感じている。2019年さらに苦労したところだからね」
マルク・マルケスとブラドルは、ふたりともテスト初日にプロトタイプバイクで転倒してしまった。原因は、単にコースが冷えすぎていたのだ。
「僕たちは2020年型のバイクを一歩一歩進めている。完成された2020年型バイクではなくね。でも出発点は良い感じだ」と過去7年で6度のMotoGPタイトルを獲得したマルク・マルケスは語った。
「金曜日に試した新しいシャシーを気に入ったし、それから違うものも同じように試した。僕とカル(・クラッチロー)は違う作業をしている。ホンダがさまざまなことを理解できるようにね」
マルク・マルケスの2020年のチームメイトであるアレックス・マルケスは、MotoGPキャリアをLCRのガレージで始め、クラッチローの2019年型バイクで走行した。アレックス・マルケスは、非常に温度が低いコースでテスト1日目を早く始めすぎるというミスを犯してしまった。反時計回りのコースの数少ない左コーナーのひとつで転倒してしまったのだ。
「アレックスは転倒した最初のライダーのひとりだ。僕は、『彼はミシュランタイヤとMotoGPバイクがとても寒いコンディションでどうなるかを知らないんだ!』と言ったよ」とマルク・マルケスは語った。
転倒を喫したものの、Moto2チャンピオンのアレックスは十分満足だった。「MotoGPバイクのパワーは驚くべきものだ。でも大きな違いは、これがカーボン製ブレーキだということだ。だからこれの使い方を学ばなければならない。それとタイヤと電子制御についてもね」とアレックス・マルケスは語った。
「あの時点では快適にバイクに乗れていると感じていたが、限界を探り始めたら問題が起きるかもしれないことは分かっていた。僕は学びと成長を続けていく必要がある。3月のカタールでの最初のレースがどうなるかそのうち分かるよ」
■完全新設計のV4エンジンに注力するアプリリア
アプリリアが現時点で主な焦点を置いているものは、イタリアのノアーレのファクトリーにある。そこでチーフエンジニアのロマーノ・アルベシアーノが2020年に向けて、完全に新しいV4エンジンを作っているところだ。
バレンシアでチームは様々な新パーツをテストしたが、2020年に向けたアプリリアの本当のテストプログラムは、2月のセパンテストで新型バイクが登場するまでは始まらないだろう。