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投稿日: 2019.12.29 17:28

通算5度のタイトルホルダー、ホルヘ・ロレンソがMotoGPで走り続けた18年/(3)ドゥカティ、ホンダへの移籍。そして引退へ…


MotoGP | 通算5度のタイトルホルダー、ホルヘ・ロレンソがMotoGPで走り続けた18年/(3)ドゥカティ、ホンダへの移籍。そして引退へ…

 ロレンソはヤマハで過ごす最後のシーズンとなる2016年を、4勝を含む10度の表彰台獲得、ランキング3位で締めくくった。ヤマハのファクトリーチームで9年間にわたり戦ったロレンソが次のステージとして選択したのは、ドゥカティへの移籍だった。引退会見のなかで、ロレンソはこのときの決断に触れ、こうコメントしている。

「僕のような“完璧主義者”にはたくさんのモチベーションが必要で、それがすばらしい9年間を過ごしたヤマハを離れた理由だった。ドゥカティへ移籍したことは、大きな力とモチベーションを与えてくれた」

 とは言え、3度のタイトルを獲得したロレンソをもってしても、ドゥカティですぐさまトップ争いを繰り広げることは簡単ではなかった。ロレンソが移籍初年度の2017年シーズンに獲得したのは2位が1回と3位が2回で、未勝利に終わった。

 ドゥカティで2年目のシーズンとなる2018年、ロレンソは第6戦イタリアGPでついにドゥカティでの初勝利を挙げる。ロレンソは続く第7戦カタルーニャGP、そして第11戦オーストリアGPでも優勝し、3勝を飾った。

2018年はイタリアGPでのドゥカティ初優勝を含む3勝を挙げた
2018年はイタリアGPでのドゥカティ初優勝を含む3勝を挙げた

 しかし、シーズン終盤の第15戦タイGPのフリー走行2回目でハイサイド転倒。右足首と左手首を負傷して4戦を欠場する。この怪我は、ロレンソの2019年シーズンのための準備にも影響を及ぼすことになった。翌2019年、ロレンソはドゥカティからホンダへ移籍することを決断していた。

 マルケスとロレンソという、タイトルホルダーふたりの布陣を敷いたレプソル・ホンダ・チームはシーズン開幕前から注目を集めたが、ロレンソは2019年のオフシーズンに左手首を手術。そのリハビリのために2月のセパンテストに参加することができず、ロレンソにとってドゥカティからホンダのMotoGPマシンに乗り換えるための大事な時間は限られたものとなった。

 こうしたなか、ホンダで迎えた2019年シーズンは序盤から厳しい戦いを強いられる。それでも、ロレンソのなかにまだ闘志は残っていたという。ロレンソが最終的に引退を決めたのはマレーシアGP後だったが、実際にその可能性を考え始めたのは2度の転倒を喫したあとのことだったと、引退会見のなかで語っていた。6月に行われたカタルーニャGP後のテスト、そして第8戦オランダGPのフリー走行1回目で、ロレンソは大クラッシュを喫した。オランダGPでは胸椎を骨折している。

 その後もロレンソの走りは、精彩を欠いた。優勝、表彰台はもちろん、トップ10圏内でフィニッシュできないロレンソの姿を誰が想像できただろうか。そして、最終戦バレンシアGPのレースウイークを迎えた木曜日、ロレンソは2019年シーズンをもってレーシングライダーのキャリアに終止符を打つことを発表した。

引退レースとなった2019年第19戦バレンシアGP。ロレンソは13位で完走した
引退レースとなった2019年第19戦バレンシアGP。ロレンソは13位で完走した
最後のチームメイトであり、ライバルであったマルケスとハグを交わすロレンソ
最後のチームメイトであり、ライバルであったマルケスとハグを交わすロレンソ

 最終戦バレンシアGPを、ロレンソは16番グリッドからスタートして13位で完走。優勝も表彰台に上ることもないまま、ロレンソはMotoGP最後のシーズンとなった2019年を終えた。それでも、決勝レース後の取材に応じるロレンソの表情には、晴れやかさが漂っていた。

 18年という時間を、MotoGPのトップライダーとして疾走し続けたロレンソ。ひとりの王者が、2019年バレンシアGPでそのキャリアに幕を引いた。


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