更新日: 2020.02.03 21:09
安定を重視したヤマハの戦略に一抹の寂しさ。2020年はロッシの動向にも注目/ノブ青木の知って得するMotoGP
Text:Go Takahashi
![2019年MotoGP バレンティーノ・ロッシ](https://cdn-image.as-web.jp/2020/02/03143856/MEYM_040219_Valentino-Rossi_25-660x434.jpg)
あれほどのスターになりながら変わらずにピュアな心を持ち続けられるのもスゴイし、幼なじみでロッシの付き人をしているアレッシオ・サルッチ(通称ウーチョ)を始めまわりの人たちのサポートやコントロールも見事だったのだと思う。だからロッシは素のままでいられたのだ。
ロッシにファンが多いのは、ピュアなレース好きということはもちろんだが、努力を怠らないところにもあると思う。言うまでもなく、ロッシは天才だ。若い頃は遊んでいてもレースに勝てた。でも年齢を重ね、若手が台頭し、ある時に「これじゃダメだ」と分かってからは、信じられないほどの努力を重ね続けている。
ワタシらに見えているトレーニングなんて、ほんの一部。影では相当に頑張っているはずだ。年齢とともに体力も反射神経も衰えるものなのに、体にかかる負荷が年々増しているMotoGPマシンを乗りこなし、フォームを変え、ライディングを進化させ、トップを走り続けるなんてハンパない。
当たらないことで有名なワタシの予想では、今シーズンのロッシは開幕戦から第3戦ぐらいまでの間に表彰台に立つのではないだろうか。例年、最初のオーバーシーズラウンド(ヨーロッパ以外でのレース)は好調だ。
実力のある若いライダーがどんどん出てきているとはいえ、後ろの方を走るロッシは見たくない。彼自身もそんな自分は許せないはずだ。開幕からうまくダッシュを決めて表彰台争いをしてくれれば、ファンの応援にも今まで以上に熱が入り、「バレ、もっと行け!」となるだろう。そしてロッシ自身も「21年も続けようかな」という気持ちになるかもしれない。
それはそれでカッコいい選択だとワタシは思う。天才が努力する姿は美しい。その美しさを、いつまでも見せてほしいのだ。
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■青木宣篤
1971年生まれ。群馬県出身。全日本ロードレース選手権を経て、1993~2004年までロードレース世界選手権に参戦し活躍。現在は豊富な経験を生かしてスズキ・MotoGPマシンの開発ライダーを務めながら、日本最大の二輪レースイベント・鈴鹿8時間耐久で上位につけるなど、レーサーとしても「現役」。