そして、フロントロウに並びながらリタイアという結果に終わったファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)にも触れておきたい。第7戦サンマリノGPを迎えて、チャンピオンシップのランキングトップだったクアルタラロ。しかしここ数戦は表彰台を逃している。
そして、サンマリノGPの決勝レースでは3番グリッドからスタートし、8周目に転倒。これは自身のミスだったと、クアルタラロは認めている。
「スタートはよくなかったけれど、マーベリックをオーバーテイクしたとき『よし、ジャック(・ミラー)をつかまえるためにプッシュしよう』と思ったんだ。でも、最終ラップみたいに攻めてしまった。まだ19周も残っているのにね。僕のミスだ」
クアルタラロは転倒後にマシンを起こしてレースに復帰し、20番手付近を走っていたが、18周目にピットイン。その後再びレースに戻り、2回目の転倒を喫してリタイアとなった。不可解にも思えるピットインの理由は、エンジンの不調を感じたからだった。
このピットインの理由は気になるところだ。クアルタラロはシーズンで5基使えるエンジンのなかでもサンマリノGPまでに4基を使用しており、さらに同じヤマハのエンジンで戦うビニャーレスやフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)のエンジンはすでに5基中1基がアロケーションから外れている。ただ、クアルタラロによればエンジンには問題なかった、という。
「エンジンに変な感じがあったからなんだ。ギアとエンジンを入れただけで、パフォーマンスが少し落ちた。でも、問題はエンジンにはなかったよ」
クアルタラロはこのリタイアにより、チャンピオンシップのランキングトップから2番手に後退。アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)が代わってトップに浮上した。
乱世さながらの混戦を見せる2020年シーズンのMotoGPのなかで、ふたりのヤマハライダー、ビニャーレスとクアルタラロはシーズンをけん引することができるだろうか。

