更新日: 2020.09.19 14:10
全日本ロード:全面改良されたBMW S1000RR。星野知也「良さがそのまま残っているし変な癖はない」/新型マシンフォーカス
ライダーの星野、チーフメカニックの高村氏からも高い評価を得ている新型S1000RRだが、レースを戦うマシンに仕上げるにはもちろんセッティングの変更を必要とする。
星野は昨シーズンまでピレリタイヤを履いており、今季はST1000クラスがワンメイクタイヤを採用しているためダンロップタイヤを履いているのだが、テストでは新型マシンとタイヤのマッチングなど、様々な改善を行ってきた。
「今は足回りのベースセッティングを探っている段階だし、新型マシンでさらにタイヤも初めて履くダンロップなので難しいです」と星野。
「ですが、ほかのダンロップタイヤ未経験者のなかでは常にトップにいるので、走行距離を稼いでうまくセッティングできれば、もっと速く楽に走れると思います」
また、鈴鹿サーキットでのテストの際は、今年は中止となってしまったが、鈴鹿8時間耐久ロードレースを視野に入れてピレリタイヤを履いて走行を重ねた。
「今年はマシンが新型になってタイヤも変わったから、バイクが悪いのかタイヤが悪いのかがわからないじゃないですか。だから、鈴鹿でテストした時はピレリタイヤを履きセッティングは変えずに走りました。するとダンロップだったら起きていなかった問題がピレリを履くと出るんですよね」
「まずはそこをピレリでも探っている状況です。ダンロップを履いた条件だと変わるし、試しているところなのでまだ未知数ですね。セッティングが良い方向に来ているから今はネガティブなところを感じることはありません」
高村氏は「新型なので誰もデータを持っていなくて、基本がないところから始めるので、そこに少し時間がかかりましたが、ある程度の距離を走るとそれなりに良くなりました。車体の姿勢を決めるまでが大変で、まだ途中の段階なので、まだまだ伸びしろはあると思います」と車体姿勢の調整を繰り返していることも明かした。
そんなS1000RRの現状での完成度について尋ねると、星野は「70~80%だと思います。ベースがいいのでタイムが出ていますし、底上げができればもう少しアベレージタイムも上がるだろうし、一発のタイムも出せると思います。相当走らないとわからないので、今年は一年いろいろ試して来年に勝負という感じになると思います」と評価した。
「ST1000クラスはJ-GP2のトップライダーも参戦し、JSB1000から高橋裕紀(日本郵便HondaDream TP)もきているし本当に激戦です。だから上位にいられることはS1000RRのパフォーマンスが高いことを示していると思うので、これからチームと協力して残りのセッティングを詰めていきたいと思います」
ST1000クラス初年度の目標は「優勝したいしチャンピオンも狙います。転倒が続いているので転ばないようにするのと、今年はレース数が少ないので常に表彰台に登れるポテンシャルを示したいですね」と意気込んだ。
鈴鹿8耐のSSTクラス2連覇を目指すのは来年に持ち越しとなったが、まず星野はST1000クラスの初戦で2位表彰台を獲得したことで新型S1000RRのポテンシャルを示した。
それについて高村氏は「いきなりこれだけ走ると言うのは素晴らしいと思う」と語っており、星野もレース後に「(決勝の)序盤に高橋裕紀とトップ争いをできたのはすごく自信になったし、このまま続けていけばいつかは追いつけるのではないかと思っています」とさらなる進化を期待できるコメントを残している。
今年はST1000クラスのタイトルを狙うが、EWCでは鈴鹿8耐以外に、セパン8耐やボルドール24時間に出場することもチームの今後の目標だ。
全日本ロード第1戦SUGOでは同じく新型となったホンダCBR1000RR-Rを駆る高橋裕紀にリードを許したが、今後テストを積み重ねると違った結果が見えてくるだろう。