開幕戦の2位と3位を獲得した、ドゥカティライダーのふたり。2位のザルコは6番グリッドから、3位のバニャイアはポールポジションからスタートして中盤までトップ2を走行していたが、ともにビニャーレスに交わされた。ザルコは残り4周あたりでタイヤが苦しくなり始め、バニャイアは残り15周あたりからタイヤのグリップが低下し、風によってペースが維持できなくなったという。
また、5番グリッドからスタートして9位というポジションでフィニッシュしたジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)は、レース中盤でリヤタイヤのグリップが低下してペースを保てなくなった、と語っている。軒並みタイヤのグリップ低下に悩まされたというところだろう。なお、カタールでの決勝レースでは全ライダーがフロント、リヤともにソフトを選択している。
2021年シーズンのタイヤについては2020年のリヤタイヤのような大幅刷新はないが、決勝レース前にミシュランから提供されたピエロ・タラマッソのコメントによれば、フロントタイヤのソフトは昨年と同じ、リヤタイヤのソフトは昨年よりも1ステップ硬めになり、2020年のミディアムタイヤが今季のソフトタイヤにあたるという。
そしてこのふたり、ザルコとバニャイアをレース終盤に追いつめたのが10番グリッドからポジションを上げてきた、2020年王者のジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)だった。実は、ミルは予選日まで苦しい状況が続いていた。バイクを止めることができず、多くの問題を抱えていたのだ。
「(予選では)獣みたいに攻めたけれど、ラップタイムが上がらない。すごくいらいらしたし、すごく怒っていた。今日はちょっと変えた。何を変えたのかは言えないけれど、昨日の夜、セッティングを見つけたんだ。昨年使っていたものなんだけどね」
決勝レースではレース終盤の残り3周でバニャイアを交わし、最終ラップの15コーナーでザルコを交わした。後方から追い上げてきて気がつけば優勝、表彰台争いに加わっている、2020年シーズンに何度も見せたスズキのレースである。
15コーナーのあと、続く最終コーナーでは少しワイドなラインになった。うまく立ち上がったザルコとバニャイアがドゥカティのトップスピードを生かし、ミルを交わしていく。4位の開幕戦。しかし、ミルは苦しい週末を振り返って「いいレースだったと思う。少し遅かったけれど、フィーリングが戻ってきた」とおおむね満足している様子だ。
「いつもなら、(最終ラップで)ザルコをオーバーテイクしようとはしないのがいいと思う。3番手を守ろうとしただろう。でも今日は開幕戦だった。それで、少し危険を冒したんだ。もし2位でフィニッシュできたなら、素晴らしかっただろうね。でも、2台のドゥカティが後方にいることはわかっていたし、それは難しいだろうこともわかっていた。ちょっと不満ではある。でも僕はベストを尽くしたよ」
第2戦は開幕戦と同じくロサイル・インターナショナル・サーキットで行われるドーハGP。2週連戦、同サーキットでの開催であるだけに、各チーム開幕戦のデータを元にした改善、その幅がポイントになるだろう。

