スズキ 全日本ロードレース第2戦鈴鹿2&4 レースレポート
2021年4月24・25日
全日本ロードレース選手権 第2戦 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース
場所:三重県 鈴鹿サーキット
レース1で加賀山就臣が3位表彰台を獲得
4月24日(土)・25日(日)に三重県・鈴鹿サーキットで、全日本ロードレース選手権シリーズ 第2戦 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レースが開催された。このレースにスズキ勢からは、Team KAGAYAMAの加賀山就臣、S-PULSE DREAM RACING・ITECの生形秀之、TERAMOTO@J-TRIP Racing の寺本幸司、BabyFace Powerd by YOSHIMURAの津田一磨らが参戦した。また、今シーズン戦いの場をEWCに移したヨシムラSERT Motulは、4月17日・18日に予定されていた開幕戦ル・マン24時間耐久レースが開催延期されたことから急遽、今回の鈴鹿2&4レースに渡辺一樹を擁して参戦することになったが、木曜日の特別スポーツ走行で転倒してケガのため、レース参戦をキャンセルした。
今大会も開幕戦に続き、決勝2レース制となった。またその内のレース1は鈴鹿8耐出場権を懸けたトライアウトも兼ねているため、67台のエントリーを集めた。木曜日に特別走行が設けられ、出走台数が多いため予選まで二組に分けて行われた。スズキ勢ではBaby Face以外はトライアウト対象となり、まずはレース1で選出される対象上位18チームを目指した。
木曜日は、A組では津田一磨が2番手に付け、順調な走り出しを見せた。EWC開幕戦に向けて準備していた生形はレースが延期されたことから今回のレース参戦を決め、慌ただしい準備期間での2021年初レースを迎えた状況だったが、このセッションで10番手となった。寺本は12番手。B組では渡辺一樹が2’06.851で2番手に付けたが、セッション終盤にトラブルから転倒してしまった。加賀山が渡辺に次ぐ3番手でこの日の走行は終了となった。
金曜日は風が強く、さらにこの日から四輪のフォーミュラライツが走り出したことから、路面にタイヤのラバーが乗り、二輪ライダーにとってグリップが得にくいコンディションとなった。1本目は加賀山が2’08.756で総合5番手となり、これに生形11番手、津田12番手、寺本24番手と続いた。午後のセッションでは加賀山が2’07.683とタイムアップを図って総合3番手。津田11番手、寺本17番手、生形18番手と続いた。
土曜日は二組に分け、30分間の予選が行われ、午後からレース1が14周で開催される。予選中のベストタイムがレース1の、セカンドベストがレース2のスターティンググリッドとなる。予選A組では津田一磨が2’08.217で8番手に付け、生形が9番手、寺本13番手となった。B組では加賀山が2’06.876のタイムで3番手。この結果、レース1は加賀山5番手、津田一磨13番手、生形14番手、寺本22番手となった。レース2は加賀山6番手、津田一磨12番手、生形14番手、寺本22番手からそれぞれスタートすることとなった。
午後にレース1がスタートした。加賀山はスタートで少し遅れ、トップ4台から少し離れて5番手を走る。3周目のデグナー2個目で複数台が転倒し、セーフティカーが5周介入。加賀山はセーフティカーが退出して2周目にこのレースの自己ベストをマークしてプッシュ。7周目4番手、8周目3番手とポジションアップに成功する。終盤は岩田悟選手(ホンダ)との一騎打ちとなったが、岩田選手が勝負に出たラストラップの130Rで転倒したため、加賀山は単独で3位チェッカーを受け、自身が持つJSB1000クラス表彰台獲得最年長記録を46歳11ヶ月へと伸ばした。生形もセーフティカーが退出したタイミングで10番手から8番手まで上げ、さらに順位を上げて7位でゴール。津田一磨17位、寺本19位でチェッカーを受けた。これで加賀山、生形、寺本の3人は鈴鹿8耐参戦権の獲得に成功した。
日曜日のレース2は、加賀山はまずまずのスタートを切り、序盤を6番手で走行。4周目に5番手へ上がったが、9周目に7番手までポジションダウン。そのままの7位でゴールした。生形は10位、津田はトラブルのため9周したところでピットインしリタイヤ、寺本は2周目の1コーナーで転倒し、リタイヤとなった。
Team KAGAYAMA No.10 加賀山就臣
(JSB1000クラス レース1 予選5番手・決勝3位 / レース2 予選6番手・決勝7位)
「木曜の走り出しは、去年の最終戦のセットから始めました。マシンの仕様的には開幕戦もてぎと同じだったのですが、開幕戦で出た問題がここでも出てしまい、その解決のために木曜、金曜の走行を使うことになってしまいました。原因不明でしかも出方が一定ではなくコンディションに大きく左右されるため、非常に苦しい走行となってしまいました。予選はなんとか帳尻を合わせて2分06秒台に入れることができました。レース1は得意なスタートもうまく決まらず、トップグループから離されてしまい、苦しいレースになるのを覚悟しました。そんな状況の中、セーフティカーが入り、退出したところが勝負所になると思ったので、タイヤの暖めを丁寧に行い、リスタートに集中して再スタートしたところ、3番手まで上がることができました。最後の数周で中須賀選手(ヤマハ)、清成選手(ホンダ)らから離されてしまったのは残念でした。最後、岩田選手とバトルになりましたが、3位がキープできました。頑張ってくれているメカニック、スポンサーの皆さんに表彰台から挨拶できたのは良かったです。JSB1000の表彰台登壇最年長記録を伸ばせたので、次は最年長優勝にしたいですね。チャンスがあれば優勝を狙えたレースだったと思いますが、それでも3位表彰台獲得が果たせて良かったです。2レース目は問題を直そうとして努力したのですが、原因が把握出来ない状況で、それでもプッシュしようとしましたが、このレースウイーク中でいちばん問題が出てしまい、コース上に留まるのが精一杯でした。プッシュし続ければ転倒に繋がるので、これはもう仕方ないと、完走狙いに切り替えました。結果的に7位でした。表彰台に乗れるポテンシャルは十分あったので、抱える原因をまず究明し、次戦のSUGOでも良い結果を出したいと思います。応援、ありがとうございました」
Baby Face POWERED by YOSHIMURA No.15 津田一磨
(JSB1000クラス レース1 予選13番手・決勝17位/レース2 予選12番手・決勝リタイヤ)
「前戦のもてぎで調子が良く、木曜日も初日5番手で良いフィーリングでした。そこから上げていけば表彰台争いができるという手応えがあったのですが、金曜日からセットアップの方向が少しズレてしまい、それを合わせ込むのに手間取ってしまいました。いろいろ変えてみたのですが予選は上手くいかず、レース1はその流れを変えられずに苦しい走りを強いられてしまいました。でも日曜日の朝フリーで試したことが上手くいき、レース1で使ったタイヤを履いても6番手だったので自信を持ってスタートしたのですが、トラブルが出てしまってリタイヤとなってしまいました。朝フリーのことを考えると残念ですが、次のSUGOに向けて良い準備をして、表彰台の手応えは十分にあるので引き続き頑張っていきます」
S-PULSE DREAM RACING・ITEC No.20 生形秀之
(JSB1000クラス レース1 予選14番手・決勝7位/レース2 予選14番手・決勝10位)
「うちのチームは全日本にスポット参戦の為、開幕戦も出てないし、準備という点ではライバルに対して遅れている状況でした。本当はEWCのル・マン24時間耐久レースに向けて準備していたのですが、レースが延期ということで鈴鹿2&4レースへの参戦を決めました。車両は今年から大きく取り組みを変え、新しい方向性でスタートさせています。これが良い方向に進み、そこは大きな収穫でしたね。このマシンになってからいちばん乗りやすい感覚で走れました。チームがまとめてくれたので、それに応える走りができたかな、という感じです。ライディングに関してもトレーニングから取り組みを変え、腕上がりも手術して対策し、その効果が出ました。これで鈴鹿8耐に向けてのベースもできたし、ボルドールにも目指して準備していこうと思います」
TERAMOTO@J-TRIP Racing No.52 寺本幸司
(JSB1000クラス レース1 予選22番手・決勝19位/レース2 予選22番手・決勝リタイヤ)
「僕たちの一番の目的は鈴鹿8耐出場権を賭けてのトライアウトでした。それをレース1で果たせたので、まずはホッとしました。我々は、鈴鹿8耐でのSSTクラス優勝を目指しています。鈴鹿8耐でそれが果たせるように狙ったタイヤをダンロップさんから供給いただき、レースウイークの中でアジャストしました。そうしたセットアップ作業の中、予選では8年ぶりに自己ベストを更新することができて、大きな手応えを掴んで、レース1よりさらにレース2でバイクの造り込み、タイヤの理解を深めて臨みました。着実にステップを踏み、レース2の決勝はこのウイークでいちばんバイク的にまとまった状態となりました。スタートでの位置取りが自分の中で納得いくポジションに付けることができていたのですが、2周目に入ったところで風にあおられて止まりきれず、コースアウトせず、もう一度縁石付近でブレーキを握ってマシンをリーンさせたら転倒し、そこでリタイヤとなってしまいました。位置取りが良かったのでなんとかロスせずに走り続けようとしたのが、結果的に裏目に出てしまいました。トライアウトという最大の目的が達成できたので、応援していただいているスズキさん、スポンサーのKTCさんに心から感謝したいと思います。これで鈴鹿8耐に向けて、準備をイチからスタートできます。8年間更新できなかった自己ベストも更新でき、ライダーとしてまだ戦えるという自信も得ることができ、とても良いレースウイークでした」