レース折り返しの13周目を終えて、トップは依然としてクアルタラロ。2番手のミラーとの差を1秒以上でキープし、すでに独走態勢を築いている。3番手にはモルビデリがつけていたが、その背後にバニャイアが迫る。そして5番手のアレイシ・エスパルガロを約0.3秒後方の中上が追う展開。マルク・マルケスは10番手にポジションを上げていた。
15周目に入ると、クアルタラロとミラーの差がみるみるうちに縮まっていく。クアルタラロのラップタイムは、1分39秒台にまで落ちていた。ミラーなど上位ライダーが1分38秒前半のラップタイムで周回していることを考えれば、そのタイム差は歴然である。16周目、クアルタラロはミラーになすすべなくトップの座を明け渡すことになった。
クアルタラロのラップタイムは回復せず、1分39秒のまま周回。その背後には、モルビデリを交わして3番手に浮上したバニャイアが迫る。そして18周目、バニャイアがクアルタラロをオーバーテイク。バニャイアが2番手にポジションを上げた。
クアルタラロのラップタイムはさらに落ち、18周目は1分40秒。モルビデリに交わされ、どんどんポジションを落としていった。
19周目、こうしたなかで中上がアレイシ・エスパルガロ、クアルタラロを相次いで交わし、4番手に浮上する。約2秒前を走るのはモルビデリ。そしてその0.2秒後方にはミルがつける。
残り5周、トップはミラー。2番手のバニャイアに約2秒の差を築き、独走態勢を築いている。バニャイアの約0.5秒後方には3番手のモルビデリ。そしてその約2秒後方で、中上がモルビデリを追う。
ミラーはこのままレースリーダーの座を譲らず、トップでチェッカーを受けた。2021年シーズン初優勝。2016年シーズンのオランダGP以来となる、表彰台の頂点に立った。2位でフィニッシュしたのはバニャイアで、2戦連続の表彰台獲得。ドゥカティ・レノボ・チームがワン・ツーでフィニッシュしている。
3位はモルビデリで、インディペンデントチームのライダートップ。そして中上が4位フィニッシュを果たした。中上は得意のヘレスで2021年シーズン自己ベストリザルトを獲得。3位のモルビデリに約0.7秒差まで迫るレースを見せた。
5位は10番グリッドスタートのミル。アレイシ・エスパルガロは6位フィニッシュを果たした。マルク・マルケスは9位でチェッカー。マルク・マルケスにとって、ヘレスは2020年に大クラッシュを喫したサーキット。フリー走行3回目で転倒し、さらに決勝日午前中のウォームアップセッションでもクラッシュしながら、悪夢を払しょくする完走を果たした。
そしてレース中盤まで圧倒的なペースを見せながらラップタイムを落としたクアルタラロは、13位でレースを終えた。


