更新日: 2021.05.22 13:20
【レースフォーカス】雨が生んだ明と暗…バニャイア、ホンダライダー、M.マルケス、ビニャーレスの場合/MotoGP第5戦
マルク・マルケスは2回の転倒により、今季初のノーポイントレースとなった。マルク・マルケスは決勝日午前中のウォームアップセッションでも転倒しており、この日だけでも3度のクラッシュを喫したことになる。
1回目の転倒は8周目。マルク・マルケスはマシン乗り換えの後にレースをリードしていた。第3戦ポルトガルGPで復帰して以来、初めてマルク・マルケスが決勝レースでトップを走ったシーンだった。
このときの転倒については「予想外だったよ。そんなにプッシュしてなかった。でも、フラッグ・トゥ・フラッグではそういうことが起こることもある。かなりリスクがあるからね」と、今回のレースでは仕方ないといった様子。
しかし、18周目に喫した2回目の転倒については「自分に腹を立てている。2回目のクラッシュはよけいだった」。このときマルク・マルケスは、11番手にまでポジションを回復していた。
「2回目のクラッシュは僕のミスだ。自分をコントロールできなかった。100パーセント集中していなかったんだ。速く走りすぎていた。1回目のクラッシュのあと、上位を走るほかのライダーがもっとゆっくりしたペースで走っているなんて知らなかったんだ」
「走りながら、腕のことなんかを考えていた。そして、(転倒した)あのラップには、チームにピットインしてスリックタイヤを履いたタイヤに乗り替えることを知らせた。コースはもう乾いていると思ったからね。でもまあ、そういうことだ。2回目のクラッシュにはがっかりだよ」
怪我がなかったことは幸いだが、「天候によるチャンスを活かせなかった」とも語るマルク・マルケス。ウエットコンディションであれば、フィジカルにかかる負担は少なくなるからだ。それにしても「100パーセント集中していなかった」というコメントには少し、違和感を覚える。そしてまた、マルク・マルケスは今、完全復活の途中であると感じさせるコメントでもあった。
■マーベリック・ビニャーレスの場合
レース序盤にはミラーやクアルタラロとトップ争いを演じたマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)。しかし、マシン乗り換えの後は上位グループから姿を消していた。6周目に12番手に後退したビニャーレスは、最終的に10位でチェッカーを受けた。
「(マシン乗り換えの後)9コーナー、10コーナーあたりでミスしてしまった。マルクからも、ファビオからも、ミラーからも、離れてしまった。それからはもう、手が届かなかったよ」
ビニャーレス自身のミスだけではなかった。ダンプコンディションでのペースにも苦しんでいたのだという。
「ポジションを上げようとした。でも、路面が濡れていないと、バイクが最大限の形で走らないようだった。フルウエットならグリップがあるし、バイクはよく機能する。でも路面の水が少ないと、少し複雑になる」
中途半端なコンディションでの苦戦。この問題については、クアルタラロも予選後の会見のなかで「スリックで行けるようなミックスコンディションでは、悪くないと思う。でも、ウエットタイヤで走らないといけないようなミックスコンディションでは……、僕たちのバイクは加速しない」と言及していたものだった。
ただ、ビニャーレスにとってこのフランスGPのスタートは満足のいくものだったようで、「いいスタートが切れたから、それはうれしい」と語った。ビニャーレスは以前よりスタートの改善を課題としており、カタールでの公式テスト以来、練習を重ねる様子を見せていたのだ。
開口一番に語った「今日はアンラッキーだったね(苦笑)」という苦笑いに、この日のレースに対するビニャーレスの複雑な心境があらわれていた、かもしれない。
天候とフラッグ・トゥ・フラッグによって、多くの悲喜こもごもを生んだフランスGPだった。