2番手争いは拮抗した。バニャイア、中上、ビニャーレスがほぼワンパックではあるが、そのすぐ後方には5番手のザルコ、6番手のミル、7番手のミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)がつけている。わずかなミスでいくつもポジションを落としてしまう、緊迫した展開が続いた。
しかし、14周目、バニャイアにトラックリミットを超過したことによるロングラップ・ペナルティが科される。そしてこのとき、ビニャーレスが中上をパス。続いて、ザルコが中上を交わし、中上は5番手に後退した。バニャイアは15周目にロングラップ・ペナルティを消化し、8番手に後退する。
ビニャーレスとザルコに交わされた中上は、その後相次いでポジションを落としていく。16周目には9番手になった。マルク・マルケスはこのとき8番手で、中上の前に出ている。中上のペースは明らかに、これまでよりも1秒以上落ちていた。
トップを走るクアルタラロは、すでに2番手のビニャーレスに対し4秒以上の差を築いている。2番手のビニャーレスの約0.5秒後方には3番手のザルコ。しかし、20周目には、ミルがザルコを交わして3番手に浮上する。ミルは10番グリッドからお家芸とも言える追い上げのレースで3番手に浮上した。
クアルタラロは序盤にバニャイアから1番手を奪還して以降、一度もトップを脅かされることなく、独走で優勝を果たした。2021年シーズン4勝目。前半戦を締めくくるオランダGPを勝利で飾り、チャンピオンシップのランキングトップの座を堅守。ランキング2番手のザルコとの差を34ポイントに広げた。
2位でチェッカーを受けたビニャーレスは、残り5周で少しずつクアルタラロとの差を削っていたが、3秒の差を詰めることはできなかった。ただ、開幕戦カタールGP以来の表彰台獲得。ヤマハとしては今季初めてのワン・ツーフィニッシュを果たした。
3位は10番グリッドから7つポジションを上げたミル。今季3度目の3位表彰台を獲得している。4位はチャンピオンシップでランキング2番手につけるザルコ、5位はオリベイラ。一時、クアルタラロとトップ争いを演じたバニャイアは6位だった。
20番グリッドからスタートしたマルク・マルケスは、13ものポジションを上げて7位でフィニッシュ。激しい2番手争いを繰り広げた中上は、中盤以降にポジションを落とし、9位でレースを終えた。
オランダGPを終え、MotoGPは約ひと月のサマーブレイクに入る。次戦の第10戦スティリアGPは、8月6日から8日、レッドブル・リンクで行われる。



