更新日: 2021.06.29 08:03
【レースフォーカス】経験を糧にチャンピオンシップをひた走るクアルタラロ、そしてビニャーレスの決断/MotoGP第9戦オランダGP
オランダGPのレースウイークでは、ビニャーレスも好調だった。3回のフリー走行でトップタイムを連発。予選ではポールポジションを獲得した。ドイツGPを最下位で終えたビニャーレスは、オランダGPで復調していた、ようだった。
決勝レースのスタートでは、先行したクアルタラロがビニャーレスのちょうど目の前に入る。そのためビニャーレスはアクセルを閉じなければならず、4番手に後退した。ただ、ビニャーレスにとって問題だったのは、むしろそのあとだった。自分たちのバイクではオーバーテイクが難しかった、とビニャーレスは語った。
「僕は(前を走っていた)タカ(中上貴晶)をオーバーテイクできなかった。レースでは、ここが問題だったんだと思う。もし1周目、2周目で彼をオーバーテイクできていたら、まったく違ったレースになったと思うんだけど」
「優勝できなかったからといって、がっかりしてはいないんだ。自分のポテンシャルをすべて発揮できなかったから、がっかりしている」
ビニャーレスは、そうポールポジションから2位で終えたレースを振り返っている。とはいえ開幕戦カタールGP以来の表彰台獲得だった。しかし、これは遅きに失していたのかもしれない。このとき、ビニャーレスにはヤマハを離脱してアプリリアへと移籍するという“うわさ話”が広まっていて、会見ではそれについて、多くの質問が飛んだ。
「技術的な面で、失望しているんだ。人に対してではないよ。2018年はすごく厳しいシーズンで、2019年は打開した。でも2020年には再びバイクが、すべてが変わってしまって、またわからなくなった。ヤマハのみんなにはお礼を言いたい。ただ、ドイツGPのレース結果を受け入れるのは、とてもつらいものだった」
ビニャーレスの心の中で、少しずつ何かが損なわれ続けていたのだろうか。そうして、この会見が行われた翌日の6月28日、ヤマハによってビニャーレスが2021年シーズンを持ってビニャーレスとの関係にピリオドを打つことが発表された。