そうする間にトップのマルティン、2番手のミルが後方を引き離しつつあり、その差は1秒以上になっていた。トップ争いはマルティン、ミルの一騎打ちの様相を呈する。3番手争いはクアルタラロがけん引していたが、ミラー、ザルコとともにワンパックになっており、依然として予断を許さない。
さらにその後方では、アレックス・マルケスと中上による接戦の6番手争いが展開されていた。11周目には中上が6番手を確かなものとし、約2.5秒前を走る5番手のザルコを追う。
残り10周、トップはマルティン、2番手はミルで変わらないが、マルティンとミルとの差は少しずつ開いていた。その一方で3番手のクアルタラロと4番手のミラーは僅差を保っていたが、ミラーは残り10周の7コーナーで転倒。ここまで表彰台をねらえる位置をキープしていただけに惜しいクラッシュとなった。
残りが5周になるころには、マルティンとミルとの差は1秒以上に開いた。ミルと3番手のクアルタラロとの差は5秒以上。トップ3はそれぞれ、単独走行で終盤のラップを刻んでいく。
その後方で5番手にポジションを上げていた中上が、4番手のザルコを猛追していた。一時2.5秒以上あった中上とザルコとの差は、残り3周で、約0.5秒、残り2周で0.2秒を切った。最終ラップ、中上はついにザルコをとらえて4番手に浮上。しかしその背後には、ブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)がつけていた。
そして、マルティンはトップを守り切り、ルーキーにして最高峰クラス初優勝を飾った。2位はミル、3位はクアルタラロが入った。最後まで争われていた4位は、中上とともにザルコを追い上げていたビンダー。中上は0.152秒差で惜しくも5位だった。
マルク・マルケスは8位、ワイルドカード参戦のペドロサは、11位でチェッカーを受けたが、10位だったバニャイアが結果に3秒加算のペナルティを受けたために、最終結果10位。2018年最終戦バレンシアGP以来のレースでトップ10に入る見事なレースを見せた。
ロッシは17番グリッドからスタートして13位フィニッシュ。代役参戦のカル・クラッチロー(ペトロナス・ヤマハSRT)は17位だった。

