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■【ドゥカティ】
チャンピオンシップのコンストラクター部門で二連覇を果たしたドゥカティは今シーズン、計8台のデスモセディチが参戦する。ファクトリーのドゥカティ・レノボ・チームは2021年と同様で、昨シーズンに初勝利を含む計4勝を挙げたフランチェスコ・バニャーニャとジャック・ミラーのラインアップだ。
チームは1月28日に2022年の参戦体制を発表予定だったが、ミラーが新型コロナウイルスのPCR検査で陽性となったことから延期。それに先立ち、1月31日にSNSでカラーリングを公表していたが、2月7日の発表会において改めてデスモセディチGP22が公開された。昨年から大きな変更はないが、サイドカウルの『Audi Sport』のロゴが消えたことや、アンダーカウルがブラックからレッドに変更されたことなど細かな違いがある。



インディペンデントのプラマック・レーシングは、ドゥカティ・コルセと直接契約を交わしているホルヘ・マルティンとヨハン・ザルコが引き続きペアを組む。
2021年にポール・トゥ・ウインで初勝利を挙げたマルティン、シーズン前半はチャンピオンシップ争いに食い込んでいたザルコがどのような戦いを見せてくれるだろうか。
マシンはワークスと同様のデスモセディチGP22で、チームは2月2日に2022年のカラーリングを公開した。レッド、ホワイト、ブルーのトリコロールが基調となっているのは例年通りだが、ブラックだったウイングレットやアンダーカウルがブルーとなったことで、より華やかになった印象だ。レーシングスーツも同様に、ブルーの面積が拡大している。
チームオーナーはパオロ・カンピノーティ氏のままだが、チームマネージャーはKTMに移籍したフランチェスコ・グイドッティ氏からクラウディオ・カラブレシ氏に交代した。
カラブレシ氏はイタリアの石油ガス企業『エニ』のリファイニング&マーケティングで営業取締役副社長を務めていた経歴を持ち、ライダーコーチからスポーティングディレクターに昇格するフォンシ・ニエト氏と共にチームを率いる。



2021シーズンまでアプリリア・レーシング・チーム・グレシーニとして、アプリリアのファクトリーマシンを使用していたグレシーニ・レーシングは、2022年からドゥカティのインディペンデントチームに鞍替えとなった。
ライダーは、イタリア人コンビを採用。2021年にスカイ・レーシングチーム・VR46に所属していたエネア・バスティアニーニが移籍してきたほか、Moto2ランク7位だったファビオ・ディ・ジャンアントニオがステップアップした。
長くチームを率いていたファウスト・グレシーニ氏は、2021年2月に新型コロナウイルスにより逝去。グレシーニ氏の妻、ナディア・パドヴァーニ氏がチームオーナー職を引き継いだ。
1月15日に発表されたドゥカティ・デスモセディチGP21のカラーリングは、グレシーニ・レーシングの新たな歴史の幕開けにふさわしい新鮮なもの。ライトブルーを基調にレッドのラインが入ったデザインは、ロッシのヘルメットも手がけていたアルド・ドゥルディ氏によるものだ。


ドゥカティ陣営の新顔のもうひとつが、VR46レーシング・チームだ。2021年シーズンは、ロッシが主宰するVR46とコラボしてスカイ・レーシングチーム・VR46として参戦していたエスポンソラマ・レーシングが撤退したため、2022年からVR46レーシングチームが単独チームとして参戦することとなった。
ライダーはロッシの異父兄弟であるルカ・マリーニがスカイ・レーシングチーム・VR46からスライド。もうひとりは、2021年にMoto2でランク3位に入ったマルコ・ベゼッチが最高峰デビューを飾る。
チームは1月3日に2022年の体制を発表。タイトルスポンサーとしてプロキシミティバンキング&ペイメント企業のムーニーを迎えた。ロッシのパーソナルアシスタントを務めていたウーチョことアレッシオ・サルッチ氏がチームディレクター、パブロ・ニエト氏がチームマネージャーを務める。


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■【KTM】
KTMはファクトリーが1チーム、インディペンデントが1チームという内訳で、マシンはKTM RC16を使用する。レッドブルKTMファクトリー・レーシングは、ミゲール・オリベイラとブラッド・ビンダーのタッグが継続となった。
フレッシュな顔ぶれとなったのは、インディペンデントのテック3KTMファクトリー・レーシングだ。2021年のMoto2クラス王者レミー・ガードナー、同クラス2位のラウル・フェルナンデスが揃ってMotoGPクラスに昇格した。
KTMは1月27日に2022年シーズン用のRC16のカラーリングを公開した。ファクトリーチームのRC16はKTMのオレンジ/レッドブルのネイビーの組み合わせに変更はないが、レッドブルのロゴが白いフチで囲まれたのが変更点だ。
一方、インディペンデントのテック3KTMファクトリー・レーシングのカラーリングは、ほとんど変更なし。オレンジのベース部分に大きくブラックでKTMのロゴが入れられている。





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■ 【アプリリア】
前述の通り、グレシーニ・レーシングと袂を分かったアプリリアは、2022年はファクトリー体制のアプリリア・レーシング・チームとして参戦する。ライダーは2017年からアプリリアを駆るアレイシ・エスパロガロ(ホンダのポル・エスパロガロの実兄)と、2022年途中にヤマハとの契約を電撃解除してアプリリアに移籍したマーベリック・ビニャーレスとなる。
2月10日、アプリリアはオンラインで発表会を行い、2022年型のRS-GPをお披露目した。昨年型からさまざまな部分で変更が加えられており、よりスリムでコンパクトになっているという。マシンを見てみるとカウル類やリヤスイングアームが一新されたほか、マフラーもアクラポビッチからSCプロジェクトに変更されたことが分かる。カラーリングもブラックがベースなのは従来通りだが、『aprilia』のロゴが大きくなった上に、パープルのラインが追加されるなどマイナーチェンジが施されている。
なお、アプリリアは2022年に唯一のコンセッションが適用されるメーカーでもある。年間9基のエンジン使用が許されるほか、グランプリ開催地でレギュラーライダーとテストライダーがプライベートテストを実施することが可能など、レギュレーションでさまざまな優遇措置が与えられている。2021年シーズンは21年ぶりの表彰台を獲得するなど上り調子のアプリリア。2022年はさらなる躍進が期待できそうだ。


