ジェスチャーコントロール機能で作動するライトブラインド
前述の通り、「I.D. CROZZ」に採用した新機構の一つが、照明付パノラミックルーフと一体化したライトブラインドです。
このバーチャルブラインドは、ジェスチャーコントロール機能によって、開閉できます。LEDストリップによって生み出される光のカーペットが、天井に沿ってスライドして室内を明るく照らします。
ルーフ部の光のストリップは、外からでも見えるようになっています。ジェスチャーコントロール機能による操作方法は、従来のスライディングルーフ同様、手を短くシャープに振ることで、ブラインドが完全に開閉します。その一方で、もう一方の手をゆっくり振ると、ライトのカーペットが、希望する位置に達するまでゆっくりと移動します。

2025年の実現を目指す“I.D. Pilot”
2020年は、「I.D. CROZZ」という形で、最初のVW製のMEBモデルが世界の市場に投入される記念すべき年になるでしょう。その約5年後の2025年からは、完全な自動運転システムが、次の革命的進化に向けた引き金になるでしょう。
上海で公開するCUVコンセプトカーには、すでにこのオンデマンド自動運転システムを搭載しています。完全自動の“I.D. Pilot”モードを選択すると、マルチファンクションステアリングホイールがダッシュボードの中に折り畳まれて、デジタルインストルメント(アクティブインフォディスプレイ)と完全に一体化されます。
つまり、「I.D. CROZZ」を完全な自動運転モードで走らせると、いわゆるステアリングホイールは姿を消してしまうのです。同様に、空調ユニットと一体化したインフォテイメントシステムも、タッチパッドとして設計されています。
自動運転モードであっても、マニュアル運転モードであっても、ドライバーは、スピードやナビゲーションに関する情報をARヘッドアップディスプレイを介して受け取ります(AR:3次元表示によるオーグメンテッドリアリティ=拡張現実の映像)。
“オープンスペース”により生み出される広い空間
コンパクトな電気駆動システムとフロアに内蔵したリチウムイオン電池のおかげで、室内には広々としたアレンジ自由なラウンジのような空間、“オープンスペース”が生み出されています。
室内に差し込む光の量やシートポジションに応じて、ダッシュボード、アッパードアトリム、ドアインサートは、それぞれさまざまな色彩を放ちます。
ドライバーと助手席乗員には、上質なヘッドレスト一体型シート(シートベルトガイドも一体化)が提供され、後席のレッグルームも大型サルーンなみの余裕があります。

さらに、ドアにあるマルチファンクショナルコントロールアイランド(空調とドア開閉のためのタッチ制御機能を備えたドアパネル)などの新機構によって、室内はさらに快適で寛げる空間になっています。
また、マルチファンクションシートコンセプトを導入した「I.D. CROZZ」の室内は、とても柔軟なアレンジが可能です。週末に自転車を積んでドライブに出掛けたいが、サイクルラックを持ってない、
という場合でも問題ありません。
自転車を単に横向きにするだけで室内後方に積み込めます。大型のスイング/スライディングドアと柔軟なアレンジが可能なリヤシートが、これを可能にしています。
リヤシートは、映画館の椅子のように、座面を持ち上げて折り畳める仕組みになっています。パッセンジャーコンパートメントドアもまた、後方に格納できるように設計されており、荷物の積み込みを容易にしています。
フロンドドアは、最大90度ととても広い開口部を持ち、Bピラーが無いこともあって、乗り降りや荷物の積み下ろしがとても楽になっています。
すべてのドア、リヤハッチ、ボンネットには、電動開閉機構が備わります。