Text : autosport web

 レース、モータースポーツ好きが選ぶクルマといえば、とにかく速さを求めていると思われがち。たしかにトルクフルなエンジンや信号待ちからスタンディングスタートを決めたくなる加速感は魅力的。さらにレースカーのようなエアロが付いた見た目や、サーキット走行ができるくらいの固い足回りのクルマもレース好きの心をガッシリ掴みますよね。

 でも……1周まわって、やっぱり普段の足に使いたいクルマって結局、乗り心地のいいクルマじゃないですか? という編集部の主張をもとに、お借りした広報車をできるだけ忌憚なく、乗り心地という視点で評価してみたいと思います。今回評価するのはフォルクスワーゲンのゴルフ(第8世代改良型、通称“8.5”)です。

●乗り心地評価 7つのポイント5段階評価

運転席からの見やすさ ★★★★★
ステアリングの操作性 ★★★☆☆
足回りの感触 ★★★★☆
アクセル、ブレーキの感触 ★★★★☆
シートの座り心地 ★★★★★
街乗りオススメ度 ★★★★☆
高速道路での安心感 ★★★★★
その他おすすめポイント:遠出に真価アリ

総合評価 ★★★★☆

 今回試乗する機会に恵まれたのは、2025年現在で最新のフォルクスワーゲン・ゴルフ。型式は3DA-CDDTTでグレード名は『TDI Active Advance』、車両本体価格は450万8000円(税込)です。

 こちらのボディサイズは、全長×全幅×全高が4295×1790×1475mm、ホイールベースは2620mmで、車両重量は1430kg。搭載する原動機の形式はDXRで、1.96リッターの直列4気筒ターボ、軽油を使用するディーゼルエンジンです。

【乗り心地のよいクルマ探求所】
フォルクスワーゲン・ゴルフ“8.5”世代 サイド

 上記数値の印象では、自然な車格のボディに過不足ないエンジンが載っている、優等生といった感じでした。そう思いながら街に出てみると、まずは予感的中、このクルマの持つ“ちょうど良さ”が少しずつ伝わってきました。

 車内空間は充分に広く、窓の視認性も良好です。それでいてボディサイズは大きすぎず、日本の街乗りでも窮屈しません。そして、徐々に郊外の広い道へ出てみると、エンジンのトルクやブレーキの安心感も感じられます。その分、細かな路地裏では丁寧な操作が必要といった印象はありますが、周囲を検知するセンサーを使った接近アラーム等も備えているので安心でしょう。

 一方で足回りは、タイヤの接地感はマイルドに伝わってきますが、街中では若干の硬さが感じられるシーンも。とくに後部座席はサスペンションに近いようで、前にくらべてかなりゴツゴツした乗り味でした。ただ、こうした硬い味付けはドイツ車らしさを感じるポイントでもあり、アウトバーンなどの高速域をターゲットにした設計とも捉えられます。

 ここで出てくるのが、上記のおすすめポイントに挙げた『遠出に真価アリ』。高速道路に乗ってみれば、クルマの動きは落ち着き、アクセルとブレーキの操作も馴染んできました。さらには次第にシートのホールド性も効いてきます。

 そして高速道路で役立つのが、運転支援のクルーズコントロールシステムです。今回お借りした『TDI Active Advance』グレードには、同一車線内全車速運転支援システム“Travel Assist”が備わっており、指定した数値を基準とした加減速や、前走車との車間距離の調整、レーンキープを自動で行ってくれます。

【乗り心地のよいクルマ探求所】
フォルクスワーゲン・ゴルフ“8.5”世代 前席シート周り
【乗り心地のよいクルマ探求所】
フォルクスワーゲン・ゴルフ“8.5”世代 ステアリング周り

 クルマ側で行ってくれる操作は自然で、レーンキープの舵角修正についても違和感はありません。また、渋滞でタイヤが止まってしまった場合でも、アイドリングストップや再始動をすべて自動で行なってくれるため、渋滞時はかなり楽です。

 燃費についても、各モードの燃費は総じて20km/Lを超え、燃料タンク容量は51Lのため、計算では1度の満タン給油で約1000km近くを走破できるでしょう。実際に乗った感覚でも、50Lを空にすることはありませんでしたが、総距離800km弱を走り切ってくれましたし、ディーゼルエンジンの燃費性能がしっかり発揮されていました。

 走り以外にも、シートとステアリングにはヒーターも備わっており、ドライバーのサポートも充実。ただ、これらの各システムに関する操作は、ステアリング上のスイッチやセンターに位置するディスプレイから行う必要があり、慣れるまでは『えーっと?』と詰まってしまうことも少なくなかったので、若干難しい印象でした。今回の試乗では、完璧に使いこなすまでには至らず。

 便利な機能が豊富だからこそ戸惑いを感じる場面もありましたが、500万円を切る価格帯としては、なかなかのコストパフォーマンスを感じることができました。これが世界のスタンダード車というのは良い意味で驚きで、勝手ながら『日本も負けていられない』という気持ちにさせられる1台でした。

【乗り心地のよいクルマ探求所】
フォルクスワーゲン・ゴルフ“8.5”世代 フロントマスク
【乗り心地のよいクルマ探求所】
フォルクスワーゲン・ゴルフ“8.5”世代 リヤタイヤ周辺。乗車位置とタイヤの位置関係が近い?
【乗り心地のよいクルマ探求所】
フォルクスワーゲン・ゴルフ“8.5”世代 リヤ
【乗り心地のよいクルマ探求所】
フォルクスワーゲン・ゴルフ“8.5”世代 リヤ収納の使用例

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