もっとも懸念していた乗り心地も驚くほど快適で、うねりや段差が多い路面を走行してもガタンっとくる大きな衝撃は感じなかった。また、コーナーを曲がる際もロールが少なく、非常に安定してる。このとき筆者に加えて2名が同乗していたが、そのふたりも、予想していたよりも振動や衝撃も感じず、後部座席でも乗り心地は悪くなかったという。
FK8型のシビック・タイプRには、『COMFORT』、『SPORT』、『+R』と3種類のドライブモードが選択でき、デフォルトでは『SPORT』が設定されている。このドライブモードを『COMFORT』にして走行してみると、路面からの衝撃はさらに軽減され、ステアリングも軽くなり、より快適に運転することができた。

特に大きな変化をもたらすのが『+R』で、このモードに設定すると、今までの乗り味から大きく変化する。路面からのインフォメーションは増し、ステアリングも重くなってタイヤの挙動がより把握できるようになるのだ。アクセルレスポンスもシャープで、アクセルを少し踏んだだけですぐに法定速度に達してしまう。一般公道でこのモードを使うときはいろいろな面で注意が必要になるだろう。



マニュアル車でたまにやってしまう“エンスト(エンジンストール)”時の再始動手順も少し不安があったが、これも杞憂だった。エンストしてしまった際は、クラッチを奥まで踏み込めば自動でエンジンを再始動してくれる。この機能は初心者やマニュアル車をひさしぶりに運転するドライバーには嬉しい機能だろう。

一般公道を中心にFK8型のシビック・タイプRを試乗したが、このクルマは、サーキットだけでなく、一般公道でも走りの楽しさを存分に味わうことができることは間違いないと感じた。また、乗り心地も快適で普段使いも充分対応することができる。“タイプR”で乗り心地に不安がある人や、家庭を持つクルマ好きも買って後悔することはないはずだ。
しかし、450万円はすぐに手が出せる価格ではないのも事実だ。過去を知る人にとってはシビックで450万と聞くと驚くユーザーも多いはず。ただし、空力パーツや最新の電子制御、インテリア、タイヤ、ホイール、ブレーキなどの装備面を考えれば、価格にも納得できるだろう。
しかも、3種類のドライブモードのおかげで普段使いとサーキット走行もこなしてくれるため、シビック・タイプRだけで1台2役を実現してくれる。そう考えると普段使い用、サーキット走行用と2台のクルマを所持するよりかは購入費、維持費を考えるとシビック・タイプRを1台だけ所有するほうが断然安いだろう。また、家庭をお持ちでシビック・タイプRの購入を考えている方は、まず乗り心地の面を前面に押し出して、購入の交渉をしてみてはいかがだろうか。







